「これがないと孫の顔が見られへんねん」— 60代女性のご相談

先日、大阪市平野区から60代の女性が松屋町の当店までご来店されました。元中学校の先生で、退職されてもう数年になるとのこと。お持ちになったのは、見覚えのある厚みのある筐体のiPad 3でした。

「これ、孫が生まれた年に買うてん。もう11年も経つんやね」と話し始められました。お話を伺うと、購入は2014年頃。お子さんの結婚を機にお孫さんが生まれ、以来ご家族の写真ライブラリとして毎日のように使ってこられたそうです。

事故が起きたのは前日の夕方。リビングで腰掛けたままお孫さんの最新の写真を見ようとした瞬間、手から滑り落ち、フローリングの上で「カシャッ」と乾いた音が響いた、とのことでした。画面の右下から放射状にひび割れが広がり、タッチ操作も部分的に効かなくなっていました。

「新しいの買えばええって息子は言うけど、この中の写真がぜんぶ大事なんや」— ご来店時のひと言が印象に残っています。当店では月に2〜3件、こうした年式の古いiPadのご相談を受けることがあります。本体ではなく、その中の思い出を救いたい、というご相談でした。

診断 — iPad 3 という機種の事情と症状の見立て

まず受付カウンターで現状を確認させていただきました。iPad 3は2012年発売、Lightning端子ではなく旧30ピンDockコネクタを採用した世代です。修理業界でも部品供給が細くなりつつあり、軽率に着手できない機種でもあります。

外観チェックでは、ガラス表面のひびに加え、LCD(液晶)側にも黒いインクのような滲みが2か所確認できました。経験上、こうした症状はガラス単体ではなくLCDまでダメージが及んでいるケースがほとんどです。タッチ反応は画面下部1/3で完全に途切れていました。

診断結果として、ガラス(デジタイザ)とLCDの2点同時交換が必要、と女性にご説明しました。料金は機種・症状によって異なります。修理料金の目安はお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。分解前のお見積もりは無料、提示後のキャンセルも可能です(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)。

「写真は…大丈夫?」と心配そうに尋ねられましたので、ほとんどの修理でデータを保持したまま対応可能(基板修理・水没等の重度故障は事前バックアップ推奨)ですとお伝えし、念のためiCloudへのバックアップ状況も一緒に画面の生きている部分から確認させていただきました。幸い、自動同期がオンになっていたので二重に安心できる状態でした。

修理工程 — 古い世代ならではの慎重な分解

女性は一度ご自宅に戻られ、当店で作業に入りました。iPad 3の分解は、実は最近の機種よりも気を遣う作業です。理由は、フロントガラスが筐体に強力な両面テープで全周固定されており、ヒートガンで温めながら少しずつ剥がしていく必要があるからです。

工程はおよそ次のような流れでした。iPad画面割れ修理の流れに詳細をまとめてあります。今回のケースに沿うと、まず約60度に温めて全周のテープを軟化、次に薄いピックを差し込み、Wi-Fiアンテナケーブルを切断しないよう端の数ミリだけ慎重にスライド。全周一気に開けるのではなく、20分ほどかけてじっくり開封しました。

内部基板を外し、LCD固定ネジ4本を緩めてから、古いLCDとデジタイザを取り出しました。新しいデジタイザ(ガラス)とLCDをセットし、ホームボタンを元の位置へ移植。ホームボタンはお客様固有の指紋・操作感が記憶されているわけではありませんが、純正のものを使い回すことで違和感のない仕上がりになります。

iPad 3 screen-crack 修理事例

組み付けの最後に、新しい両面テープを全周に貼り直し、表面ガラスを慎重に圧着。ここで気泡が入ると後から目立つので、80字単位で位置合わせをやり直す感覚で取り組んでいます。お預かりからご連絡まで、当日中に完了しました(機種・症状によっては当日返却可能なケースもあります、目安としてお考えください)。

完成後 — 「孫の顔がまた見られた」というひと言

翌日、女性は雨の中を再びご来店されました。点灯確認のため当店スタッフが目の前でホームボタンを押し、ロック解除いただいたところ、写真アプリが11年分のサムネイルを問題なく表示しました。タッチ反応も画面全域で復活していることをご一緒に確認していただきました。

「これや、これ。よかった、ほんまにありがとう」— 涙ぐみながら、最新のお孫さんの写真をスタッフに見せてくださいました。修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しいたします。交換した部品に対して3ヶ月の動作保証(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ)も付帯しています。

古い機種ほど、買い換えればいい、という声を周囲から受けがちです。しかし当店では、その一台にしかない記憶を尊重したいご相談を、月に何件もお受けしています。同じ症状の他事例もぜひご覧ください。他のApple機種でお困りの方は、大阪・松屋町スマエキのページから機種別の対応もご確認いただけます。

当店は2019年から松屋町住吉で営業しております。来店修理だけでなく、遠方の方には配送修理にも対応(郵送依頼可)。営業は10:00〜19:00、水曜定休となります。修理事例をもっと見たい方は修理ブログ一覧からどうぞ。お問い合わせフォームより、機種・症状を簡単にお書き添えのうえご連絡いただければ幸いです。

よくある質問

iPad 3 のような古い機種でも修理を受けてもらえますか?

はい、当店ではiPad 3を含む古い世代のiPadも対応しております。月に2〜3件はこうした年式のご相談をお受けしています。ただし部品在庫の状況により納期や対応可否が変動する場合がありますので、まずはお問い合わせフォームよりご相談ください。

修理中に写真や動画のデータは消えませんか?

ほとんどの修理でデータを保持したまま対応可能です。ただし基板修理や水没など重度故障の場合は事前バックアップを推奨しております。今回のような画面割れ修理であれば、内部ストレージには触れずに作業しますので、写真や動画はそのまま残ります。

ガラスだけ割れている場合とLCDも割れている場合で違いはありますか?

はい、当店では分解前の診断でガラス単体損傷かLCD損傷かを見極めます。表面に黒い滲みやタッチ反応の不具合があると、LCDまでダメージが及んでいるケースがほとんどです。料金は機種・症状によって異なりますので、お見積もりをご利用ください。

遠方から松屋町まで行けないのですが、配送で送ることはできますか?

はい、配送修理に対応しております(郵送依頼可)。お問い合わせフォームから機種・症状を簡単にご連絡いただければ、送付先と手順をご案内いたします。

修理後の保証はありますか?

交換した部品に対して3ヶ月の動作保証をお付けしています(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページをご参照ください)。修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しいたします。