iPhone 7 Plus は 2016 年発売、当店では 2019 年の創業から数えて月に 2-3 件のペースで画面修理のご依頼をいただいてきた機種となります。発売から年数が経ち部品単価も落ち着いたこともあり、最近は「自分で交換してみよう」とチャレンジされる方が増えている印象です。今回ご紹介するのは、その DIY が想定外の方向へ進んでしまったケースでした。

ご自身で「ガラスだけ剥がす」DIY を試みた経緯

お客様は 30 代の男性で、画面右下に走った 5 cm ほどのヒビが気になり、動画サイトで見つけた手順を参考に作業を始められたとのこと。ただ参考にされたのは「ガラスのみを交換する」専門業者向けの手法で、本来はヒートマシン・ワイヤー・専用接着剤を揃えた環境で行う作業でした。

ご自宅にあった道具はドライヤーとカッターのみ。フロントガラスを温めて柔らかくしたあと、爪と楊枝でフレームの隙間からガラスを剥がそうとされたそうです。最初の数分は順調に見えたものの、ガラスとデジタイザ(タッチ層)を分離するつもりが、両方をまとめて捲ってしまい、その時点でタッチが効かなくなったとのことでした。

注意: iPhone 7 Plus のフロントガラスは、内側に貼り付いたデジタイザフィルム・LCD・バックライトの 4 層構造です。ガラスだけを安全に分離するには専用の分離機が要り、家庭の道具で再現するのは難しいと当店では考えております。

当店診断で判明した被害状況

お持ち込みいただいた時点での症状は次のとおりでした。

  • 画面表示は出るが、上半分のタッチが完全に無反応
  • 下半分も部分的に反応するが、ホームボタン付近で誤タッチが連続
  • ホームボタン (Touch ID) が押下感はあるものの認識せず
  • 本体右上に 2 mm ほど浮きがあり、フレームから液晶が外れかけ

当店の作業台で液晶アセンブリを開いて点検したところ、デジタイザ層がフロントガラスから途中まで剥がれた状態で固まっており、ロジックボードへ繋がるフレキケーブルが端で完全に切断。さらに Touch ID 用の指紋認証フレキも、開閉時にカッターが触れたと思われる箇所で被覆が裂け、内部の銅箔が露出していました。経験上、ここまで複合した損傷は月に 1 件あるかないかという状況でした。

液晶モジュール自体は再利用不可と判断。Touch ID は Apple のセキュリティ仕様上、別個体への移植ができないため、純正同等品のアセンブリへ載せ替えても顔/指紋認証は復旧できない見込みであることをこの段階でご説明しました。同じ症状の他事例と比較しても、フレキ切断まで至るケースは少なく、当日中に部品確認のうえで作業可否をご判断いただくフローを取りました。

修理での回復ステップ

お見積もり提示後にご了承をいただき、作業へ進みました。流れは大きく 3 段階。

① 旧アセンブリの撤去。剥がれかけのフロントガラスがフレームに引っ掛かっていたため、まずプラスチックピックでフレーム周囲を一周し、内部のフレキを切断しないよう慎重に持ち上げます。今回は既に断裂していたので破損リスクこそ低かったものの、ロジックボード側の差し込みコネクタにガラス片が入り込んでおり、エアダスターと精密ピンセットで 10 分ほど清掃。

② 新品同等のフロントパネルアセンブリへ載せ替え。iPhone 7 Plus は 5.5 インチで、液晶+デジタイザ+フロントカメラ+イヤースピーカー+近接センサー+フレームが一体化したパネルを使用します。Touch ID 一体型のホームボタンは元基板から外して移植。ここで銅箔が露出していたフレキを、専門用のフラックスと UV レジンで補強再生し、断線していた信号ラインのみ 0.05 mm のジャンパー線で迂回しました。経験上、Touch ID フレキの修復は 6 割程度の成功率で、復旧する保証は付けられない旨を事前にお伝えしてあります。

③ 動作確認とキャリブレーション。組み付け後、画面表示・マルチタッチ・3D Touch・近接センサー(通話時の消灯)・前面カメラ・イヤースピーカーをすべて確認。今回はラッキーなことに Touch ID も復活し、お客様の指紋を再登録して引渡し前テストを完了しました。お預かりから引渡しまで約 2 時間、混雑状況によって前後します。

iPhone 7 Plus screen-crack 修理事例

iPad など他機種の画面修理の標準的な進め方は iPad画面割れ修理の流れ でも紹介していますので、流れの違いを比較したい方はあわせてご覧ください。

同じ失敗を避けるための教訓

今回の経験を踏まえて、当店からお伝えしたい点が 3 つあります。

1 つ目、動画で見る「ガラスのみ交換」は専用設備が前提であること。ヒートプレートで均一に 80 度前後に温め、ワイヤーで層を分離し、新品ガラスを接着剤で再貼り付けし、最後に脱泡機で気泡を抜く—この一連の機材が揃って初めて成立する作業です。家庭の道具では再現できないと考えていただいたほうが、結果として被害が少なく済むことが多いというのが、当店での実感でした。

2 つ目、Touch ID の復旧は機種仕様上の制約がある点。iPhone 5s 以降、指紋認証チップとロジックボードはペアリングされており、別個体のホームボタンを移植しても認証は通りません。今回はオリジナルのフレキを修復できたため復活しましたが、フレキ自体を交換すると Touch ID は失われ、単なるホームボタンとして残るのみとなります。

3 つ目、分解前のお見積もりは無料とさせていただいておりますが、「自分で開けてしまった後」のお持ち込みは、被害範囲の特定に追加診断時間がかかります。お見積もり提示後のキャンセルも可能ですが、分解診断や部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります。料金は機種・症状によって異なりますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。詳しくは 修理料金の目安 のページもあわせて参考になさってください。

教訓: 画面が割れていてもタッチが効くうちは、データ救出や復旧の選択肢が広く残っております。タッチが効かなくなった後の DIY は、復旧難易度が一段上がる傾向にあります。

当店スマエキは大阪市中央区松屋町住吉 6-26、地下鉄松屋町駅から徒歩 4 分の路面店で、10:00〜19:00 営業 (水曜定休) でお迎えしております。来店修理が難しい遠方のお客様には、配送修理 (郵送依頼) もご利用いただけます。大阪・松屋町スマエキ の店舗ページに来店ルートと配送依頼フォームを掲載しております。修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しし、交換した部品に対して 3 ヶ月の動作保証 (落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ) をお付けしております。

過去の修理事例や DIY からの復旧記録は 修理ブログ一覧 に随時掲載しておりますので、似たトラブルでお悩みの方はぜひ参考になさってください。スタッフ一同、お気軽にご相談いただける雰囲気作りを心がけております。

よくある質問

自分でガラスを剥がして失敗してしまった iPhone 7 Plus でも修理できますか?

多くのケースで、フロントパネルアセンブリの交換と内部フレキの清掃で復旧できております。ただし Touch ID 用フレキが完全断裂している場合、指紋認証は復旧しないことがあり、当店では事前診断のうえで作業可否をご案内しております。

DIY で開けた跡があると修理は断られますか?

当店では DIY 跡があっても受付しております。ただし被害範囲の特定に追加の診断時間がかかるため、ご来店前にお問い合わせフォームから状況をお知らせいただけるとスムーズに進められます。

iPhone 7 Plus の画面修理の所要時間はどれくらいですか?

通常の画面割れであれば、お預かり時間は 60〜90 分目安となります。今回のように内部損傷を伴うケースでは 2 時間前後をいただいており、混雑状況や部品在庫により前後します。

修理後にデータは残りますか?

ほとんどの画面修理ではデータを保持したまま対応可能ですが、内部フレキの損傷など重度の故障では事前バックアップを推奨しております。お預かり前にバックアップ状況も確認させていただいております。

遠方からの郵送修理は受け付けていますか?

はい、配送修理も対応しております。お問い合わせフォームから機種・症状をご連絡いただいた後、当店指定の梱包方法をご案内し、ご返送までを店舗での来店修理と同じ流れで進めております。