作業バケツに落下、画面割れだけでは終わらなかった一台

先日、大阪市住吉区でハウスクリーニング業を営まれている40代の女性が、お客様宅から戻られたその足で当店にお越しになりました。手にしていらしたのはiPhone 14 Pro。画面の左上から放射状にヒビが走り、タッチ操作も右下のあたりだけ反応するという状態でした。

iPhone 14 Pro screen-crack 修理事例

お話をうかがうと、業務用の洗剤や水を入れる作業バケツのフチに胸ポケットから滑り落ちてしまったとのこと。バケツの中には少量の水と硬めのブラシが入っていて、画面側から落下した結果、運悪くブラシの柄に角が当たったようでした。落とした直後は画面が割れただけだと思って業務を続けられたそうですが、夕方に決済アプリを開こうとした際にFace IDが何度試しても通らず、パスコード入力でしかロック解除できなくなって違和感に気づかれたそうです。

「画面が割れただけなら我慢できるけれど、業務でiPhoneのロック解除を一日に何十回も使うのでFace IDが効かないのは困る」というのが一番のお悩みでした。お客様宅でレシートや作業前後の写真を素早く撮るお仕事柄、片手操作の頻度が高く、毎回パスコードを打つのは現場では現実的でないとのこと。

このような複合的な不具合、当店では月に3〜4件ほどお預かりしています。画面割れ単独であれば交換だけで済むのですが、Face IDまで巻き込むケースは少し慎重な診断が必要となります。

Face IDが反応しないとき、まず疑うポイント

iPhone 14 Proの場合、Face IDは画面上部のTrueDepthカメラユニットと、本体内部に走る複数のフレキケーブルが連動して動作しています。落下衝撃でこのうちのどれかにダメージが入ると、画面表示は問題なくてもFace IDだけが反応しなくなる、という症状が出ます。

当店ではまず、お客様の前で簡易診断を行いました。具体的にチェックしたのは下記の3点です。

  • 「設定」→「Face IDとパスコード」内で、Face IDの登録自体が消えていないか
  • 「カメラを覆っている可能性があります」というエラーメッセージが出るかどうか
  • インカメラ側のセルフィー撮影が正常に動作するか

結果、エラーメッセージは出るものの、登録データは生きており、インカメラも問題なく作動していました。経験上、この組み合わせはTrueDepthカメラ周辺のフレキ接続ゆるみ、または画面側に内蔵されているドットプロジェクタの軽微なズレが多いパターンとなります。重度のセンサー破損ですと、設定画面で「Face IDを使用できません」と完全に拒否される表示になるため、今回はそこまで深刻ではないと判断しました。

ご来店から約20分でこの一次診断をお伝えし、画面交換と同時にFace ID周辺のフレキを点検・必要に応じて再接続する方針でご納得いただきました。同じ症状で悩まれている方は同じ症状の他事例もあわせてご覧いただくと、判断の参考になるかと思います。

画面交換とフレキ点検の実際の手順

方針が決まったところで作業に入りました。iPhone 14 Proの画面交換自体は、当店では2019年の創業当初から数多くお預かりしてきた作業のひとつです。今回は画面交換に加えてFace ID関連フレキの点検も行うため、通常より少し時間をいただきました。

まず防水テープを慎重に温めながら剥がし、画面を持ち上げます。このとき、画面側面に走る薄いフレキケーブルを切らないよう、開く角度は75度ほどに留めます。バッテリーコネクタを外して通電を遮断したあと、TrueDepthカメラユニットを画面側から内側へ移植する準備に入ります。

iPhone 14 Pro以降の画面修理で気をつけたいのが、TrueDepthカメラは個体ごとにペアリングされている点です。新しい画面にそのまま付けても、元の本体に紐づいたユニットを正しく載せ替えなければFace IDは復活しません。今回はこの移植作業を丁寧に行ったうえで、画面側のコネクタ4本(ディスプレイデータ・タッチ・3D Touch相当センサー・TrueDepth)を順番に接続。

診断時に疑っていたフレキの接続ゆるみは、バケツ落下の衝撃で1本がわずかに浮いていたのが原因でした。一度すべて外し、シールド板を再装着して締め直し、絶縁テープも貼り直しています。お客様の動作環境を考えると、現場で再度ぶつけるリスクもありますので、内部の固定はいつもよりひと手間多めに。

純正同等の画面パーツは、視野角・色再現・タッチ感度ともに違和感の少ないものを採用しました。基板修理を伴わない通常の画面交換ですので、データはお預かりしたままの状態で保持できています。重度の基板損傷や水没歴がある場合は事前にバックアップをお願いしていますが、今回はその必要もありませんでした。iPad画面割れ修理の流れと基本工程は近いものの、Face IDなど生体認証が絡む機種では、紐づけ部品の扱いが分岐点になります。

復旧後のご様子と、業務利用iPhoneでお預かりするときに伝えていること

組み付けが完了したのが、お預かりからおよそ60分後でした。その場でお客様にFace IDの再登録を試していただき、一発で認証が通った瞬間に小さくガッツポーズをされていたのが印象に残っています。「これでまた現場で片手で動ける」と笑顔でお話しいただきました。

お渡し時には、業務でハードに使われる方向けのご案内もお伝えしました。具体的には、作業中は防水ポーチや胸ポケットではなく腰のホルスターに固定する、洗剤がかかる現場では強化ガラスフィルム+耐衝撃ケースの二段構えにする、月に一度はFace IDの再登録を試して認識精度を確認する、といった内容です。

修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しとなり、交換した画面とTrueDepth関連の作業箇所には3ヶ月の動作保証がつきます(落下や水濡れなど使用上のトラブルは対象外で、詳細は保証規約ページに記載)。後日「あの日の夜から業務アプリも普通に通っています」とフォームからご連絡をいただき、店主としてもほっとしました。

当店、スマエキは大阪市中央区松屋町住吉6-26にあり、営業時間は10:00〜19:00、水曜定休でやっています。来店修理だけでなく、現場が忙しくて持ち込みが難しい方には配送修理も対応しております。料金は機種・症状によって異なりますので、お見積もりはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。詳しい店舗情報は大阪・松屋町スマエキのページに、目安については修理料金の目安のページにまとめています。他のiPhone・iPad事例は修理ブログ一覧にも掲載していますので、よろしければご参考に。

よくある質問

画面が割れているだけに見えても、Face IDが効かなくなることはありますか?

あります。iPhone 14 Proの場合、画面上部のTrueDepthカメラ周辺のフレキケーブルが落下衝撃で浮いたり緩んだりすると、表示は正常でも生体認証だけ反応しなくなるケースがございます。当店でも月に3〜4件ほどお預かりしている症状です。

画面交換だけでFace IDも一緒に直りますか?

ケースによって異なります。画面交換時にTrueDepthカメラユニットを元の本体から正しく移植し、フレキ接続を点検することでFace IDが復活する場合が多いのですが、センサー本体が破損している重度のケースでは別途のお見積もりとなります。事前診断でお伝えしますので、ご来店後にご判断いただけます。

業務でiPhoneを使っているのですが、データを残したまま修理できますか?

ほとんどの画面交換ではデータを保持したまま対応可能です。ただし基板修理や水没など重度故障の場合は事前バックアップをお願いしております。仕事用の写真や請求書アプリのデータも、通常の画面交換であればそのまま残ります。

お見積もり後にキャンセルすることはできますか?

分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能です。ただし分解診断や部品発注に進んだ後は所定の手数料が発生する場合がありますので、進める前に必ずご確認のお声がけをしております。

現場が忙しくて来店できない場合はどうすればいいですか?

配送修理にも対応しております。お問い合わせフォームよりご連絡いただければ、発送方法のご案内をお送りします。当店は大阪市中央区松屋町住吉、営業時間10:00〜19:00、水曜定休となります。