2019 年に大阪・松屋町で開業してから、iPhone 8 の画面修理は月に 8〜10 件ほどお預かりしています。その中でも特に印象に残ったのが、画面のヒビに セロハンテープを何重にも貼り重ねて補強 しようとした端末でした。お客様としては「割れた破片が指に刺さらないように」「これ以上ヒビが広がらないように」という善意の応急処置でしたが、結果的にタッチパネル側のダメージが進行し、当店へお持ち込み頂くことになりました。
今回はこの一件を記録として残しておきます。同じ機種・同じ症状で迷っている方の参考になれば幸いです。

テープ重ね貼り補強 — 失敗の経緯
お客様は iPhone 8 をご自宅の床に落とされ、画面右上から斜めに走る大きなヒビが入った状態でした。当初は 修理料金の目安 を調べたものの、すぐに修理に出す時間が取れず、応急処置として 100 円ショップで購入したセロハンテープを画面全体に貼られたとのことです。
そこまでは比較的よくある対処でした。問題は、その後 2 週間ほど毎日テープを貼り替え続けた こと、そして 暖房の効いた室内でポケット内の体温と重なって熱がこもった ことでした。お客様ご自身も「最初の数日は普通に使えていたが、だんだんスワイプが効かない場所が出てきた」と振り返っておられます。
注意点: 一般的な文具用セロハンテープは耐熱温度が 60℃ 前後で、夏場の車内や暖房の効いた室内でポケットに入れると粘着剤が軟化して液晶面に染み込むことが知られています。応急処置として使う場合は、画面保護フィルム用途の透明フィルムを選ぶ方が無難でした。
お預かり時の被害状況
当店の作業台で初期診断を行った時点で、以下の症状が確認できました。
- 画面右半分でタッチが反応しない、または座標がズレる
- テープを剥がした跡に うっすら茶色く変色した粘着剤 が液晶表面に残留
- ヒビの隙間に粘着剤が入り込み、液晶のバックライトが部分的に黄ばんで見える
- ホームボタン (Touch ID) は反応するが、画面ロック解除後の操作が一部不安定
テープ自体は剥がせば取れるのですが、長期間貼り続けたことで 粘着剤がデジタイザ (タッチ層) のフレキシブルケーブル付近にまで回り込み、タッチ感度低下を引き起こしているようでした。当店では月に 3-4 件、似たようなテープ起因の二次被害を見ております。同じ症状の他事例は 同じ症状の他事例 にもまとめてあります。
幸い基板側には浸透していなかったため、本体データは保持できる見込みでした。お客様には診断結果をその場でお伝えし、お見積もりを提示してから作業を進めております。
当店での復旧作業の流れ
iPhone 8 はホームボタンが Touch ID を兼ねているため、画面交換の際は元のホームボタン部品を新しい画面アセンブリに移植する必要があります。今回の作業手順は次の通りでした。
- 専用ヒートマットで画面外周を 30〜40 秒目安で温め、変質した粘着剤を軟化
- 吸盤と薄手のスパチュラで画面アセンブリを慎重に持ち上げ、内側のフレキシブルケーブルを切らないよう本体上部側を支点に開く
- 古いデジタイザコネクタ・LCD コネクタ・フロントカメラケーブル・ホームボタンケーブルを順に外す
- 元のホームボタン部品 (Touch ID 認証チップ含む) を新しい画面に移植
- 新しい画面アセンブリを接続し、組み立て前にタッチ・表示・Touch ID・近接センサ・スピーカ・フロントカメラを通電テスト
- 問題なければ防水パッキン込みで本体を閉じ、最終クリーニングと動作確認
お預かりからお引渡しまでは、機種・症状によっては当日返却可能なケースもあります。今回は在庫があったため約 60 分目安で完了しております。修理後は技術基準適合確認のうえお渡しし、お客様にも Touch ID とタッチ感度を実機で試して頂きました。
iPad など他機種の画面割れに関しては iPad画面割れ修理の流れ も合わせてご覧ください。流れ自体は近いですが、サイズと厚みの関係で工程数が変わってきます。
今回の事例から得られる教訓
応急処置でテープを貼ること自体は、破片の飛散防止という意味で必ずしも間違いではありません。ただし、今回のケースでは 「貼ったまま長期間使う」「熱がこもる環境で使う」 という二点が重なり、本来交換だけで済むはずの故障が、粘着剤除去という追加工程を伴うものになってしまいました。
経験上、応急処置として実施するのであれば次のような点を意識して頂くと、後の修理でも被害が広がりにくくなります。
- 文具用セロハンテープではなく、画面用の透明保護フィルムを選ぶ
- 補強した状態のまま使用する期間は数日以内を目安にし、暑い場所への放置を避ける
- タッチが効きづらい・色味が変わってきたと感じた段階で、それ以上は触らずに修理相談へ
当店は大阪・松屋町住吉にあり、営業は 10:00〜19:00 (水曜定休) です。来店修理の他、配送修理 (郵送依頼) にも対応しておりますので、遠方の方もお気軽にご相談ください。料金は機種・症状によって異なります。お問い合わせフォームよりご連絡頂ければ、症状に応じた目安をお伝えします。分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能 (分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)。
過去の修理事例は 修理ブログ一覧 にまとめてあります。お住まいのエリアから探したい方は 大阪・松屋町スマエキ もご確認ください。交換した部品に対しては 3 ヶ月の動作保証 (落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ) を付けております。
よくある質問
画面が割れた iPhone 8 にテープを貼って使い続けても大丈夫ですか?
短期間であれば破片の飛散防止として有効なケースもありますが、長期間貼り続けると粘着剤が液晶やタッチ層に回り込み、タッチ感度低下や変色の原因になることがあります。数日以内に修理相談されることをおすすめします。
テープの粘着剤で画面が変色してしまいました。修理できますか?
多くのケースで画面アセンブリ交換により表示・タッチともに復旧可能です。基板側まで粘着剤が浸透していないか診断したうえで、お見積もりをご提示します。
iPhone 8 の画面修理にどれくらい時間がかかりますか?
在庫・混雑状況にもよりますが、機種・症状によっては当日返却可能なケースもあります。お預かりは 60 分目安が一つの基準です。
Touch ID は画面交換しても使えますか?
iPhone 8 のホームボタンは元の部品を新しい画面に移植することで Touch ID 機能を維持できます。本体ペアリングされたチップを引き継ぐためです。
遠方からでも修理を依頼できますか?
配送修理に対応しております。お問い合わせフォームよりご連絡頂ければ、発送方法と流れをご案内いたします。