2019 年から大阪・松屋町でスマートフォン修理を専門に対応している当店では、月に 3〜4 件はバッテリー膨張のご相談をお受けしております。多くは「画面が浮いてきた」「裏蓋が膨らんで閉まらない」といった軽症のうちにご来店いただくのですが、先日はかなり重度の事例が持ち込まれました。お客様は40代の男性で、ご自宅で iPhone 7 のバッテリー膨張を発見し、ネット動画を参考に「中のガスを抜けば膨らみが収まる」と判断、針のような工具で本体に穴を開けたところ、その瞬間に内部から白煙と火花が出て焼損したとのことでした。

失敗に至るまでの経緯
お話を詳しく伺うと、症状は2週間ほど前から始まっていたようでした。最初は画面の左下が浮いてきた程度で、時間とともに浮きが大きくなり、ついに画面とフレームの間に1mm以上の隙間ができたとのこと。お客様としては「修理に出すと費用も時間もかかる」「自分で何とかなるなら試したい」というお気持ちだったそうです。
そこでインターネットで検索したところ、「膨張バッテリーは内部のガスが原因なので、穴を開けて抜けば元に戻る」という個人の投稿動画を見つけられ、それを実践されました。実際にはこれは極めて危険な行為で、リチウムイオンバッテリーは内部の電解液が空気と反応すると急激に発熱・発火する性質を持っています。
重要な警告:リチウムイオンバッテリーへの穴開け・分解・加熱は、火災および火傷の重大なリスクがあります。膨張に気づいた段階で使用を中止し、専門業者にご相談ください。誤った処置は端末の全損だけでなく、ご家庭内の火災事故にもつながりかねません。
持ち込み時の被害状況
当店にお持ち込みいただいた時点で、端末の状態は次のようになっていました。バッテリー本体は穴を開けた箇所から焼損し、黒く炭化した部分が見られる状態。フレキシブルケーブル(電源管理周り)も熱で変色しており、画面パネルの裏側にも焼け跡が広がっていました。お客様はご自宅の机の上で作業されたとのことで、机の天板にも焦げ跡が残ってしまったそうです。幸いカーテンや書類への引火は無く、大事には至らなかったとのことでした。
動作確認を行いますと、当然ながら電源は入りません。Lightning ケーブルを接続しても充電マークすら表示されず、本体のフレーム自体も熱でわずかに歪んでおりました。同様の事例は当店実績では年に1〜2件あり、内部基板まで損傷が及ぶと修理不能となるケースも珍しくありません。
ここまで来てしまうと、もはや単なるバッテリー交換では済まず、基板の状態確認・周辺パーツの全交換を含む重度故障扱いとなります。同じ症状の他事例を見ても、ここまで損傷が進んだケースは稀です。
修理での回復プロセス
まずは端末を屋外の不燃トレイに移し、再発火の可能性が無いか30分ほど様子を見ました。その後、ゆっくりと分解を進めていきます。焼損したバッテリーは絶縁処理をしてから慎重に取り外し、地域の規定に沿った方法で廃棄処理を依頼します。
続いて基板を取り出し、ルーペと顕微鏡で目視チェック。今回は幸いにも基板の主要部分には熱ダメージが及んでおらず、損傷していたのはバッテリーコネクタ周辺のフレキシブルケーブルと、画面パネルの裏面、内部の遮熱テープ類のみでした。
交換が必要だったパーツは次のとおりです。バッテリー本体、画面パネル一式、電源ケーブル、内部の絶縁テープ。これら全てを新しい部品に交換し、基板の各端子を清掃したうえで再組み立てを行いました。お預かり時間はバッテリー交換単体であれば約30分目安ですが、今回は内部の状態確認も含めて2日間ほどお預かりとなりました。
組み上げ後、初回の電源投入は緊張する瞬間でした。リンゴマークが無事に表示され、ホーム画面まで起動を確認できたときには、お客様もホッとした表情を浮かべておられました。データに関しては、ほとんどの修理でデータを保持したまま対応可能(基板修理・水没等の重度故障は事前バックアップ推奨)とご案内しておりますが、今回は念のため事前バックアップをお願いしておりました。結果的にはデータも保持されておりましたが、こうした重度故障では何が起こるか分からないため、バックアップは必須とお考えください。iPad画面割れ修理の流れでも触れておりますが、修理前のデータ保護はあらゆる端末に共通する基本となります。
今後への教訓
今回のお客様も振り返って「あの動画を信じたのが間違いだった」と仰っていました。インターネット上には個人発信の修理情報が無数にありますが、リチウムイオンバッテリーのような専門知識が必要な部位については、安易な実践はおすすめしておりません。穴開け・加熱・水没後の自己分解などは、端末の全損だけでなく、ご家庭の火災や火傷事故にもつながる行為となります。
バッテリー膨張の予兆としては、画面の浮き、裏蓋の膨らみ、本体の発熱、急激な電池持ちの悪化などが挙げられます。こうした症状に気づいた段階でご使用を中止し、専門業者にご相談いただくのが一番です。経験上、初期段階であればバッテリー交換のみで対応できるケースがほとんどで、お預かり時間も約30分目安(在庫・混雑により前後)で済みます。
料金は機種・症状によって異なります。当店修理ブログ一覧にも各機種の事例を掲載しておりますので、似た症状を探していただくと参考になるかもしれません。分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)。
最後に、当店大阪・松屋町スマエキは2019年の創業以来、来店修理に加え配送修理(郵送依頼可)にも対応しております。営業時間は10:00〜19:00、水曜定休。修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しいたします。交換した部品に対して3ヶ月の動作保証(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ)もお付けしておりますので、ご検討の方は修理料金の目安をお問い合わせフォームよりご確認ください。
よくある質問
膨張した iPhone 7 のバッテリーはどう扱えばよいですか?
穴を開ける、力で押し戻す、加熱するなどの行為は火災リスクがあるため絶対に行わず、使用を中止して専門業者にご相談ください。当店スマエキでもお預かりして適切に処置いたします。
DIY で内部発火させてしまった端末でも修理は可能ですか?
損傷の程度によります。基板の主要部分が無事であれば、バッテリー・画面・周辺パーツの交換で復旧できるケースもあります。まずはお問い合わせフォームよりご相談ください。
通常のバッテリー交換にはどれくらい時間がかかりますか?
iPhone 7 のバッテリー交換単体であれば、お預かり時間は約30分目安となります(在庫・混雑により前後します)。重度故障の場合は数日お預かりすることもございます。
膨張バッテリーの初期症状は何ですか?
画面の浮き、裏蓋の膨らみ、本体の発熱、電池持ちの急激な悪化などが挙げられます。これらの症状に気づいた段階で使用を中止し、ご相談いただくのが安全です。