先日、落下で割れた iPhone 14 のガラス面に「UV ライトで硬化するタイプの補修用レジン」をご自身で塗布された端末が、当店スマエキ(大阪・松屋町)に持ち込まれました。塗った直後は透明感が戻ったように見えたものの、数時間経つとタッチがところどころ無反応になり、最終的に画面が暗転したまま戻らない状態でした。月に 3〜4 件はこの「自己修理→悪化」のパターンに遭遇します。今回はその経緯と、当店で実際にどのように立て直したかを、当事者視点で残しておきます。

iPhone 14 screen-crack 修理事例

UVレジンで塗り固めた当日の経緯

お客様によると、駅の階段で iPhone 14 を落としてしまい、画面右上から放射状に細かいヒビが入った状態だったとのこと。その日のうちに通販サイトで「液体ガラスフィルム」「UV 硬化レジン補修材」と表記された商品を購入し、付属のミニ UV ライトで硬化させたそうです。

問題はその工程でした。割れたガラス面の上に厚めに液体を盛り、ヒビの中に流し込むようにライトを当てた結果、レジンが微細な亀裂を伝って内部側に染み込んでしまったのです。表面だけを覆うつもりが、実際には毛細管現象で「中」まで侵入していました。

注意: 市販のレジン補修材の多くは「美観の応急処置」を想定しており、すでに割れたガラスの内部構造に流入することは想定されていません。販売ページの注意書きを確認してから使うことを、当店としても強くお願いしています。

このタイミングでお客様は 同じ症状の他事例 をネット検索され、似たケースを見つけて当店にご連絡くださいました。お問い合わせフォームから、夜のうちにご相談を受けた次第でした。

持ち込み時に確認した被害状況

翌日に来店され、診断台で確認したところ、状態は次の通りでした。

  • 画面右上〜中央にかけてのタッチ反応が断続的に消える
  • ホームバーの下端だけ、なぜか反応が残っている
  • 画面の角度を変えると、一瞬だけ全面が点灯し直す
  • 表面を爪でなぞると、硬化済みレジンの段差を確認できる

iPhone 14 シリーズの前面には、Apple が「Ceramic Shield(セラミックシールド)」と呼ぶ強化前面層が組み込まれています。今回はそのセラミックシールド層と、その下の OLED パネル・タッチ用センサー層との境目に、硬化したレジンが薄膜として入り込んでいるように見えました。経験上、こうなるとタッチ用の静電容量が乱れ、指の触れた位置が誤検知される傾向があります。

お客様には診断結果をお伝えしたうえで、iPad画面割れ修理の流れ と同じ流れで、まず分解前の見積もりと作業範囲のご説明を行いました。分解前のお見積もりは無料で、お見積もり提示後のキャンセルも可能です(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)。

修理での回復作業 — 残留レジン除去と画面交換

作業は二段構えにしました。

① フレーム周りの硬化レジン除去。そのまま画面ユニットを引き上げると、固まったレジンがフレーム側に張り付いた状態で剥がれてしまい、フレームの凹み・歪みを誘発する可能性がありました。専用ヒーターで軽く温めながら、樹脂用のへらでゆっくり層を浮かせるように除去しました。これだけで 30 分目安の作業となります(状態により前後)。

② 画面ユニット交換。セラミックシールド層内部に染み込んだレジンは、後から拭き取れる種類のものではないため、画面ユニットごと純正同等品に交換する判断としました。交換後は、ホームボタン非搭載モデルでも問題となりやすい True Tone と自動輝度の挙動、フロントカメラ近接センサーの反応、Face ID の連動を一通り通電チェックしています。修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しいたしました。

仕上げに、フレーム内側に残った微細なレジン片を改めて確認し、防水パッキンを新品に張り替えています。当店では 2019 年の創業以来、iPhone 13 以降のセラミックシールド世代で同様のお預かりが増えており、月に 3〜4 件のペースで「DIY 後のリカバリー」のご依頼をいただいている状況でした。

ご来店の前にお問い合わせフォームから状態の写真を送っていただいたため、当日中に部品の在庫を確保でき、その日のうちにお返しできる流れとなりました。機種・症状によっては当日返却可能なケースもあります。詳しくは 修理料金の目安 のページにケース別にまとめてあります。

今後への教訓 — 自分で「上塗り」する前に立ち止まる

今回のケースで一番もったいなかったのは、最初に割れた直後の段階では、画面ユニット交換だけで済んだはずだった、という点でした。レジンを塗り固めたことで、フレーム側のクリーニング作業が一工程増え、お預かり時間も伸びてしまいました。

教訓: 割れた画面に対する「液状の補修材」は、外観の応急処置以上の意味を持たないことが多いです。タッチ層・センサー層への侵入は、後から取り除けないことがあるという前提でご判断ください。

とはいえ、ご自身で何とかしたい気持ちは当然のものです。当店では、ネット購入された部品やレジン類で作業を進めてしまったあとのご相談も、状態確認のうえで対応しています。判断が難しいときほど、塗る前・開ける前にお問い合わせフォームから写真を送っていただければ、当店からは当日中にコメントを返すようにしています。

大阪市中央区松屋町住吉 6-26、地下鉄松屋町駅から徒歩圏にある 大阪・松屋町スマエキ は、来店修理に加えて配送修理(郵送依頼)にも対応しています。営業は 10:00〜19:00、水曜定休。お預かり前後の写真や、これまで対応した近い症例については 修理ブログ一覧 にもまとめてありますので、似た状況に心当たりのある方はそちらもご覧ください。交換した部品に対しては 3 ヶ月の動作保証(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ)がつきます。

よくある質問

UVレジンで一度塗ってしまった画面でも、画面交換だけで直りますか?

多くのケースでは画面ユニットの交換で復旧しますが、フレーム側に硬化したレジンが残っているとそのままでは新しい画面が密着しないため、当店では先にフレーム内側のクリーニングを行ってから交換しています。状態により前後しますが、追加の除去作業で 30 分目安の延長となることがあります。

セラミックシールドの内部にまで入り込んだレジンは、薬剤で溶かして除去できますか?

経験上、後から拭き取り・薬剤洗浄だけで取り除けるケースはほとんど確認できていません。タッチ層・OLED 層への侵入が確認された場合は、画面ユニットごとの交換でのご提案となります。

DIYで作業したあとでも修理を受けてもらえますか?

はい、状態を拝見したうえで対応しています。お問い合わせフォームから症状の写真を送っていただけると、当日中に作業可否や追加工程の有無をご案内します。

iPhone 14 の画面交換後、Face ID やTrue Toneは元通りに動きますか?

純正同等の画面ユニットを使用し、通電後のセンサーチェックまで実施していますので、ほとんどのケースで修理前と同じ挙動に戻っています。元の部品に固有の損傷がある場合は、事前にお伝えしたうえで作業を進めています。