給油中の不運な落下、お客様の悩み
その日の昼下がり、油の匂いをわずかにまとった作業着のお客様が、当店のドアを開けて入っていらっしゃいました。手にしているのは、画面が派手にひび割れた iPhone 8 Plus。聞けば、大阪市西成区のセルフ式ガソリンスタンドで給油担当をされている30代の男性で、出勤前にエプロンの胸ポケットへ無造作に入れていた端末を、給油機の前でかがんだ拍子に取り落とされたとのことでした。
「普通に落としただけならまだ良かったんですけどね」と、お客様は苦笑い。地面にうっすら広がっていた古いオイルの上に滑り落ち、そのまま2メートルほど滑走。やっと止まったのは、洗車スペースの縁石の手前だったそうです。「あの、Tシャツでサーッて滑り台みたいな感じで…画面の角が縁石の角にコツンと当たって、ガラスが一気に蜘蛛の巣みたいになりました」
正直なところ、月に3〜4件はこうした「業務中の落下」案件をお預かりしています。建設現場、飲食店の厨房、配送ドライバー――手を動かして働く方ほど、端末にとっては過酷な環境のようです。お客様は「業務連絡もシフト確認も全部この iPhone 8 Plus に入っているので、今日中に何とかしたい」と切実な様子。お話を伺ったうえで、まずは当店の作業ベンチへご案内しました。同じ症状の他事例もご参考までにご覧いただきました。
受付台での診断、油汚れと割れの状態を確認
診断台に置いた iPhone 8 Plus の第一印象は、表面のひび割れもさることながら、ボディ全体にうっすらまとわりついた油膜でした。画面のひびは右上の角を起点に放射状に広がり、ホームボタン側まで到達。3D Touch の感度も鈍く、Safari のスクロールが時々勝手に発火する誤作動も確認できました。
幸い、表示自体は生きており、Face ID 非搭載の iPhone 8 Plus はホームボタン+指紋認証もきちんと反応。これなら基板側まで深刻なダメージは入っていなさそうだ、と店主としては内心ホッとした次第です。とはいえ、油は精密機械の大敵。クリーニング工程をしっかり踏まないと、後の組み立てで滑ったり、フレキシブルケーブルが滑ったりするリスクがあります。
お客様には「画面アセンブリ交換が中心の作業になります。お預かり時間はバッテリー交換併用で1時間〜90分程度が目安(在庫・混雑により前後)、ほとんどの修理でデータを保持したまま対応可能です。基板修理・水没等の重度故障は事前バックアップ推奨ですが、今回は基板側に大きな問題はなさそうです」とご説明。修理料金の目安もお問い合わせフォームでご確認いただいたうえで、お預かりすることとなりました。
修理工程、油の除去から画面アセンブリ交換まで
作業に入る前に、まずは外装の脱脂です。専用クリーナーをマイクロファイバーに含ませ、スピーカーの細かな溝、Lightning コネクタの周辺、サイドのボリュームボタンの段差まで丁寧に拭き取りました。ここで横着すると、後で工具が滑って二次破損につながります。
続いてヒートガンで端末上下のフロントパネル接着部を温め、画面アセンブリを慎重にめくり上げます。iPhone 8 Plus はタッチケーブルが画面側にコンパクトにまとまっているので、3GS 時代のような「下からゆっくり開く」のセオリーが今でも有効。ケーブルを切断しないよう、角度は20度以上開かないのが基本でした。
内部を覗いてみると、防水パッキンの黒いゴム部分にもうっすら油の侵入が確認できました。バッテリーや基板を覆うシールド板を外し、フロントカメラ・近接センサー・スピーカー・ホームボタン(指紋認証ケーブル)をひとつずつ移植先の新品アセンブリへ載せ替えていきます。指紋認証ケーブルは元の端末固有のもの。傷をつけたら指紋認証が二度と使えなくなるため、当店では2019年の創業以来、このケーブル外しには専用の絶縁ピンセットを使い続けています。
移植が終わったら、防水パッキンを新品に貼り替え、画面アセンブリを本体へ戻して各種ケーブルを接続。最後にネジ類を締めながら、お客様の前で電源を入れて表示・タッチ・3D Touch・指紋認証・通話・Wi-Fi・カメラを一通り確認しました。iPad画面割れ修理の流れとは少しコツが違いますが、考え方の根本は共通しています。

修理完了、お客様にお返しした瞬間
受付から戻ってきたお客様は、ピカピカになった iPhone 8 Plus を見て「えっ、外側まできれいになっとるやん」と驚かれていました。油でくすんでいた背面ガラスも、内部分解のついでに丁寧に拭き上げておいたためです。指紋認証もしっかり反応し、Safari の誤作動もきれいに消えました。
「いやー、これでまたシフト確認も給油の伝票管理も普通にできます。実は明日からの3連勤、ちょっとどうしようかと思ってまして」と、ようやく肩の力を抜かれたご様子。当店では交換した部品に対して3ヶ月の動作保証(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ)をお付けしているため、その内容も口頭で念押しさせていただきました。
分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)。修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しいたします。料金は機種・症状によって異なりますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
お見送りの際、お客様から「ガソリンスタンドって、油以外にも静電気とか結構スマホに厳しい現場やと思うんですよ。何かおすすめないですか?」とご質問が。経験上、業務中の落下が多い方には耐衝撃ケース+ガラスフィルム+ストラップホール付きの三点セットをおすすめしております。当店ではアクセサリー類のご相談も承りますので、修理のついでにお気軽にどうぞ。
同じように落下事故で iPhone 8 Plus の画面割れにお困りの方、当店スマエキへの来店修理および郵送修理を受付中です。修理ブログ一覧では、ほかの機種・症状の事例も多数公開していますので、よく似た事例があるか探してみるのもおすすめです。大阪・松屋町スマエキは大阪市中央区松屋町住吉6-26、10:00〜19:00(水曜定休)で営業中、皆さまのご来店をお待ちしております。
よくある質問
油や水で汚れた iPhone 8 Plus でも画面修理を受けてもらえますか?
はい、外装に油・水・ホコリなどの付着がある状態でもお預かり可能です。当店では作業前に専用クリーナーで脱脂・洗浄を行ってから分解作業に入りますので、お客様ご自身でクリーニングいただく必要はございません。お問い合わせフォームよりご相談ください。
iPhone 8 Plus の画面交換でデータは消えませんか?
ほとんどの修理でデータを保持したまま対応可能です。基板修理・水没等の重度故障の場合は事前のバックアップを推奨しております。今回のような画面割れ単独の症状であれば、データそのものへの影響は基本的にございません。
落下事故での画面割れは保証対象になりますか?
交換した部品に対して3ヶ月の動作保証をお付けしておりますが、落下・水濡れなど使用上のトラブルは保証対象外となります。詳細は保証規約ページをご確認ください。再度の落下による割れは、新たな修理として承ります。
iPhone 8 Plus の画面修理はどのくらい時間がかかりますか?
iPhone 8 Plus の画面アセンブリ交換は、お預かり時間1時間〜90分程度が目安となります。在庫・混雑状況により前後する場合があります。当日のご来店前にお問い合わせフォームよりご一報いただくとスムーズです。