お客様の悩み — 右上角の衝撃から始まった連鎖症状

先日、当店に「画面が割れたうえに表示までおかしくなった」とお困りのお客様がご来店されました。機種はiPhone 6s、長く使い込まれた一台です。お話を伺うと、外出先でカバンから取り出す際に手が滑り、コンクリートの地面に右上角から落としてしまったとのこと。

iPhone 6s screen-crack 修理事例

拾い上げた瞬間はガラスにヒビが入っただけに見えたそうですが、ポケットに入れて数十分歩いているうちに、画面の一部が黒く沈み、明るいところでは虹色の縦線が走り、さらに薄く横方向にバーコードのような縞が出始めた、と。タッチ操作も右半分が反応しなくなり、パスコードすら入力できない状態でした。

「データはどうなりますか」「家族の写真が消えたら困る」とご不安そうな表情。実はこういう複合症状、月に3〜4件はうちで拝見します。落下時の衝撃が一点に集中すると、ガラスの破損だけで済まず、その下の液晶パネル(LCD)とタッチ層(デジタイザ)まで同時にダメージが及ぶケースが多いんです。

診断 — ガラス・液晶・タッチ、3層すべてに被害

店頭でまず外観を確認したあと、当店の作業台で点灯テストを行いました。観察できた症状は次の通り。

  • 右上角を起点に放射状にガラスのヒビ(クモの巣状)
  • 画面右上の約3cm四方が真っ黒に沈み、表示が出ない領域
  • 背景が白い画面で、明るい虹色の縦線が4本ほど縦断
  • 画面下半分にバーコード状の細かい縞模様が断続的に出る
  • 白黒が反転した横線が時々1〜2本走る
  • 右半分のタッチがほぼ無反応、左半分も時々ダブルタッチ誤認識

2019年から松屋町で修理を続けてきた経験上、これは典型的な「ディスプレイアセンブリ全損」のパターンです。iPhone 6/6sの画面はガラス・液晶・タッチが一体構造になっており、衝撃で内部のフレキシブルケーブルやドライバICが圧迫されると、こうした多彩な異常表示が連鎖して出ることがあります。

同じような複合症状の他事例は同じ症状の他事例でもいくつか紹介していますので、参考にしてみてください。なお基板そのものは通電・起動とも正常で、Touch ID(ホームボタン)も生きていました。これは不幸中の幸いで、ディスプレイアセンブリ単体の交換で復旧見込みありとお客様にお伝えしました。

「お預かりしたまま部品を見繕って、分解前のお見積もりをお出ししますね」とご案内。料金は機種・症状によって異なりますので、詳しくは修理料金の目安をご覧いただくか、お問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能です(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)。

修理工程 — ディスプレイアセンブリ交換の実作業

お客様にご了承をいただいたあと、いよいよ作業へ。iPhone 6sの画面交換は、当店では概ね40〜60分が目安です(在庫・混雑により前後します)。今回の流れをかいつまんでご紹介しますね。

① 電源オフ&下部ネジ外し。充電ポート両脇の星形ネジ(P2)を2本外します。

② 吸盤で画面を慎重に持ち上げ。本体右側からゆっくり開きます。iPhone 6sには上部に防水テープが薄く入っているため、無理に引きはがすと内部のフレキを切ってしまう恐れがあるんです。今回はガラスがすでに割れていたため、破片の飛散にも気をつけながら開けました。

③ ディスプレイ側コネクタ4本を外す。シールド板を外し、バッテリーコネクタを先に切ってから、液晶・タッチ・ホームボタン・前面カメラのフレキを順番に外します。順番を間違えると基板が通電したまま作業することになり、ショートのリスクが上がるためです。

④ ホームボタンとイヤースピーカーを移植。ここが今回のキモでした。Touch ID(ホームボタン)は購入時の本体と紐づいているので、新しいアセンブリに必ず元のホームボタンを移植する必要があります。専用ブラケットの極小ネジ3本を外し、フレキを傷めないよう新品側へ載せ替え。イヤースピーカーと近接センサーフレキも同様に移し替えます。

⑤ 新品アセンブリを接続して仮点灯。本組み前に必ず動作確認を行います。今回は表示に異常なし、タッチも全画面で反応、Touch IDも認証OKを確認できました。

⑥ 本組み・ネジ締め・最終チェック。各コネクタをしっかり押し込み、シールド板・ネジを順に戻し、最後にもう一度全機能(通話・スピーカー・カメラ・センサー)を通しでチェックして完了です。

ちなみに、iPad画面割れの場合は構造が異なり工程も別物となります。気になる方はiPad画面割れ修理の流れもあわせてどうぞ。

完成後 — お引渡し時のご様子と保証について

お引渡しの際、お客様には店頭で実際にホームボタン認証・カメラ起動・写真フォルダの確認まで一通り触っていただきました。「縞模様も縦線もきれいに消えてる」「タッチも全部効く」とほっとしたご様子で、何よりだったのは家族写真がそのまま残っていたこと。多くのケースで画面交換ではデータを保持したまま対応可能ですが、基板に深刻なダメージがあったり水没を伴う場合は事前バックアップを推奨しています。今回はその点もクリアできました。

修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しいたします。交換した部品に対しては3ヶ月の動作保証(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ)を付けてお渡ししました。

最後にひとつだけ。iPhone 6sはもう発売から年数が経っており、メーカーでの修理対応が縮小しています。ですがディスプレイアセンブリの互換部品はまだ流通しており、うちでも在庫を切らさないようにしています。「使い慣れた一台をもう少し大事に使い続けたい」という方は、大阪・松屋町スマエキまでお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。来店修理だけでなく郵送修理にも対応しています。

過去の修理ブログは修理ブログ一覧からご覧いただけます。営業は10:00〜19:00、水曜定休となります。

よくある質問

ガラスは割れていないのに縦線や縞模様が出るのはなぜですか?

外側のガラスが無傷でも、その下の液晶パネルやドライバ周辺のフレキシブルケーブルに衝撃ダメージが入っていると、縦線・横縞・色ムラ・黒沈みといった表示異常が出ることがあります。落下後しばらくしてから症状が拡大するケースもあり、当店でも月に数件は拝見します。

iPhone 6sはもう古い機種ですが、画面修理に対応してもらえますか?

対応可能です。当店では2019年からiPhone 6/6s/SE 第1世代など旧機種のディスプレイアセンブリ部品をストックしており、多くのケースで当日〜翌日のお渡しを目指して進めています(在庫・混雑により前後します)。

Touch ID(ホームボタン)はそのまま使えますか?

はい、画面交換ではお客様のiPhone本来のホームボタンを新しいアセンブリへ移植します。本体購入時に紐づいたホームボタンでなければTouch IDは動作しないため、移植作業は当店で慎重に行っています。

データは消えませんか?

画面交換のみの場合、ほとんどのケースでデータを保持したまま対応可能です。ただし基板修理や水没を伴う重度故障では事前バックアップを推奨しています。今回の事例でも、お客様の写真や連絡先はそのまま残っていました。

修理時間と料金はどれくらいですか?

iPhone 6sの画面交換は40〜60分が目安です(在庫・混雑により前後)。料金は機種・症状によって異なりますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。分解前のお見積もりは無料です。