「漁の最中に船べりから落として…」泉南郡からのご相談

先日、大阪府泉南郡からお越しくださったのは、50 代の漁師さん。早朝の漁に出ていた最中、防水ケースから出した瞬間に iPhone 7 Plus を船べりにぶつけ、そのまま海水を被ってしまったとのことでした。「家族との連絡や水揚げ伝票のやり取りも全部この一台に入ってる」「データだけでもなんとか…」と、港から松屋町まで車を走らせて来店されたのが午前 11 時頃。当店は 10:00〜19:00 の営業で水曜が定休、ちょうどタイミングよく開店直後でした。

iPhone 7 Plus water-damage 修理事例

正直なところ、海水水没のご相談は当店でも月に 2-3 件はあります。真水と違って海水は塩分・ミネラルが基板を急速に腐食させていくので、水没のなかでも特に厄介な部類。お話を伺うと、「持ち帰ってからすぐドライヤーで温めた」「米びつに一晩入れた」とのこと。お気持ちは痛いほど分かるのですが、これらは実は水没対応として推奨できない処置で、むしろ症状を悪化させる原因にもなるのです。

来店時の状態と分解診断 — 基板に塩の結晶

受付後、まず外観チェックから。Lightning コネクタとイヤホン穴の中をライトで照らすと、白っぽい粉状のもの — 海水が乾いて析出した塩の結晶が、はっきり見えました。電源ボタンを長押ししても画面は無反応、振ると「カラカラ」と内部で音がする状態でした。

お客様にお見積もりの流れをご説明し、ご了承いただいてから分解診断へ。当店では 2019 年の創業以来、水没基板の分解は基本的にすべて店内のクリーンな作業台で行っております。iPhone 7 Plus の場合、ディスプレイを慎重に開けて Tri-point ネジで固定された防水パッキンの内側を確認するのですが、開けた瞬間、基板の隅に海水痕がにじみ出ているのが分かりました。

バッテリーコネクタを外して通電を完全に止め、ロジックボードを取り外して顕微鏡下で観察。CPU 周辺、PMIC(電源管理 IC)の足元、Lightning フレックスのコネクタ周りに、塩の白い結晶がびっしり付着していました。経験上、この状態で電源を入れ直していたら、ショートで基板自体が焼損していた可能性も否定できません。乾燥剤や米びつでは内部の塩分は除去できないため、表面が乾いたように見えても基板内部では腐食が進行していくのが海水水没の怖いところでした。

超音波洗浄から基板チェックまでの工程

海水水没の作業は、おおまかに「分解 → 洗浄 → 乾燥 → 検査 → 部品交換 → 組み戻し → 動作確認」という流れになります。今回も同じ手順で進めました。

洗浄は専用の電子部品用洗浄液を使った超音波洗浄。塩分とミネラル成分を物理的に剥がし落としていきます。1 回目の洗浄後、顕微鏡で再チェックして残留があれば 2 回目、3 回目と繰り返すこともあります。今回はカメラフレックスとボリュームフレックスにも塩のあとが見られたので、念のため 2 回洗浄しました。

その後、温風乾燥機で完全に水分を飛ばし、テスター(マルチメーター)で各電源ラインのショート・断線がないかを 1 ピンずつ確認。バッテリーは膨張までは至っていなかったものの、海水に浸かったセルは劣化が進みやすいため、新しいものに交換することをご提案しました。さらに Lightning コネクタフレックスは内部の金属端子が黒く変色していたので、こちらも交換対象に。お客様にもう一度お見積もりをご確認いただき、ご納得のうえで部品発注へ進みました。同じ症状の他事例もページにまとめておりますので、今後の参考になればと思います。

復旧後の引き渡しと、漁師さんへのアフターケア

部品交換と組み戻しを終えてバッテリーをつなぎ直すと、Apple ロゴが点灯。ホーム画面まで無事に立ち上がってくれた瞬間が、当店スタッフ一同もホッとする瞬間でした。タッチパネル、フロントカメラ、リアカメラ、Touch ID、スピーカー、マイク、Wi-Fi、4G 通信、すべて 1 項目ずつチェック。データもそのまま残っており、お客様にお渡しする前に LINE のトーク履歴と写真フォルダを目の前で起動確認していただきました。

お渡しは翌日の夕方。漁師さんは「データが全部残ってるなんて思わへんかった」と笑顔で帰られました。ただ、海水を被った基板は表面上復旧しても、内部腐食がじわじわ進むケースもあるため、当店では交換した部品に対して 3 ヶ月の動作保証をお付けしつつ、「写真や連絡先など大切なデータは早めに iCloud か PC へバックアップしておいてください」とお伝えしております(落下・水濡れなど使用上のトラブルは保証対象外、詳細は保証規約ページをご確認ください)。

泉南郡のように当店から距離のあるエリアの方や、現場仕事でなかなか松屋町までお越しいただけない方には、配送修理にも対応しております。海水水没は早ければ早いほど復旧率が上がりますので、まずはお問い合わせフォームから症状と機種をお知らせください。iPad画面割れ修理の流れと基本の手順は同じで、来店もしくは郵送でお預かりし、分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能です(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)。大阪・松屋町スマエキでは同様の修理事例を 修理ブログ一覧 にて随時ご紹介しております。料金は機種・症状によって異なりますので、修理料金の目安 ページもあわせてご覧くださいませ。

よくある質問

海水で水没した iPhone は、自宅で乾かしておけば直りますか?

残念ながら、海水の場合は乾燥だけでは塩分・ミネラルが基板表面に残り、時間経過とともに腐食が進行することが多いです。電源を入れずに、できるだけ早く修理店までお持ちいただくか、配送修理でお送りいただくことをおすすめしております。

水没した iPhone のデータは残りますか?

ほとんどの修理でデータを保持したまま対応可能ですが、基板修理・水没等の重度故障の場合はデータ消失のリスクもゼロではありません。当店では作業前に必ずリスクをご説明し、可能であれば事前バックアップを推奨しております。

泉南郡からでも修理依頼できますか?配送修理は対応していますか?

もちろん対応しております。当店までご来店が難しい場合は配送修理をご利用ください。お問い合わせフォームから機種と症状をお知らせいただければ、お預かり〜返却までの流れをご案内いたします。

見積もり後にキャンセルすると費用はかかりますか?

分解前のお見積もりは無料で、お見積もり提示後のキャンセルも可能です。ただし、分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合がございますので、事前にご説明いたします。

保証はありますか?

交換した部品に対して 3 ヶ月の動作保証をお付けしております。落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外となりますので、詳細は保証規約ページをご確認くださいませ。