魚の鱗が付いたまま持ち込まれた iPhone 7
先日、当店に大阪市浪速区の商店街で鮮魚店を営まれているという 65 歳の女将さんがご来店されました。手にしていたのはケース無しの iPhone 7。画面の右上から左下にかけて、ガラスがクモの巣状に裂けていました。「これ、もう 7 年使うてんのよ。捌き台の縁に置いとったら、ぬるっと滑って、タイルの床にバーンって」— 関西弁混じりに苦笑いされながらの説明でした。
持ち込まれた iPhone 7 には、まだ薄っすらと魚の鱗らしき欠片が画面の縁に残っており、お客様の日常がそのまま伝わってくるような状態。実は当店には、こうした「サブ機を長年大事に使ってきた」というご相談が月に 4-5 件ほど寄せられます。メイン端末は別に持っていて、レジ横や作業場で使うのは古い iPhone というパターンは、商店街の個人店では珍しくないようです。

女将さんいわく、「メイン機は息子に持たされた新しいやつやけど、市場の連絡先とか卸の電話番号は全部この 7 に入ってんのよ。LINE もこっちでしかやっとらん相手がおる」とのこと。長年使ってきた端末には、その人の生活の重みが詰まっています。同じ症状の他事例でも、機種変更を勧めるのではなく既存端末の継続利用を希望されるお客様は多くいらっしゃいます。
診断 — タッチ操作と内部基板の状態確認
まず受付カウンターでお話を伺いながら、iPhone 7 の状態を簡易チェックいたしました。電源は問題なく入ります。ロック画面は表示されており、お客様にパスコードを入力していただいたところ、ホーム画面まで進めました。ただし画面右上のあたりはタッチ反応がほぼ無く、左下の割れがひどい部分は液晶の中まで黒い線が走っている状態でした。
iPhone 7 はホームボタン搭載の最後期モデルで、2016 年発売。当店では今もなお月に 3-4 台は修理依頼をいただく息の長い機種となっております。ガラスと液晶が一体化した構造のため、表面割れだけでも基本的には画面アセンブリ全体の交換が必要になります。
続いて作業場へ移動し、本体内部の状態を診断。タイル床への落下となると、衝撃の方向次第では基板やバックライト IC へのダメージも疑われるため、画面交換だけで済むのか、それとも基板側にも影響が出ているのかを慎重に見極める必要があります。今回はバックライトの輝度低下や縦線・横線の表示異常は見られず、画面さえ交換すれば本来の動作に戻る可能性が高いと判断いたしました。
女将さんには「画面交換で恐らく直りますが、稀に落下衝撃で内部のフラットケーブルや基板側のコネクタにダメージが及んでいるケースもあります。分解後に追加の症状が見つかった場合は、その時点で改めてご相談させていただきます」とお伝えしました。分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能ですので、女将さんも安心して作業をお任せくださいました。
修理工程 — 7 年分の埃と向き合いながら
iPhone 7 の画面交換は、本体下部の星形ネジ 2 本を外し、専用吸盤で画面を引き上げてから内部のフラットケーブル 4 本を慎重に外していく流れとなります。当店では 2019 年の創業以来、iPhone 7 シリーズの画面交換を累計で数百件以上手がけてきましたが、7 年使い込まれた個体は本当にそれぞれ表情が違うものです。
今回の個体は、開封して内部を見た瞬間、フレーム内側の溝にうっすらと白い結晶のような付着物がありました。経験上、これは長年にわたり魚や水を扱う環境で蓄積した塩分の名残と思われます。基板への腐食はギリギリ及んでいないようでしたが、ホームボタン周辺のコネクタ接点には軽い変色が見られたため、エアダスターと精密ブラシで丁寧に清掃いたしました。
iPhone 7 の画面交換で特に気を付けるのが、ホームボタン (Touch ID) の付け替え作業となります。Touch ID センサーは個体ごとに本体基板とペアリングされているため、純正のホームボタンを新しい画面アセンブリに移植しないと指紋認証が使えなくなる仕様。古い画面からホームボタンを慎重に剥がし、新しい画面に丁寧に移植する工程は、iPhone 7 修理の最大の山場でした。
新しい画面アセンブリを取り付ける前には、フレーム周囲の防水パッキンも交換。タイル床に落下した際にフレーム自体にも軽い歪みが出ていたため、フレーム整形の工程も追加で行いました。最終的にフラットケーブル 4 本を本体基板に戻し、星形ネジで固定して作業完了。お預かりから組み上げまで、目安として 30 分前後で進められました (在庫・混雑状況により前後します)。
修理の流れの詳細はiPad画面割れ修理の流れのページでも紹介しておりますが、iPhone 7 もほぼ同じ手順となります。大阪・松屋町スマエキでは、こうした古い機種の修理にも 2019 年の開業当初から継続して対応してまいりました。
完成後 — 通電チェックと女将さんの笑顔
組み上げ後はまず電源投入。Apple ロゴが表示され、ロック画面まで問題なく進みました。タッチ感度を全画面くまなくチェック。先ほどまで反応の鈍かった右上エリアもサクサク反応します。Touch ID も無事ペアリング維持できており、女将さんの指紋認証もそのまま使える状態でした。
カメラ起動、スピーカーからの音声確認、Wi-Fi 接続、Bluetooth ペアリング、近接センサー (通話時に画面が暗くなる機能) — 一通りの動作チェックを実施。iPhone 7 のような旧モデルは、画面交換と同時に他のセンサー類が一時的に挙動を変えることがあるため、お渡し前のチェック項目は通常より念入りに行うようにしております。
受付カウンターで女将さんに本体をお返しした際、画面を見た第一声は「あら、新品みたいやないの!」でした。続けて「これでまた市場の電話帳がそのまま使えるわ。買い替えるとなると番号入れ直すのもえらい手間でなあ」とほっとされたご様子。
当店では交換した部品に対して 3 ヶ月の動作保証をお付けしております (落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページにてご確認ください)。今回の修理についても、女将さんに「3 ヶ月以内に何か気になる症状が出たら、まずはお問い合わせフォームからご連絡を」とお伝えしました。修理ブログ一覧には他のお客様の事例も掲載していますので、ぜひご覧ください。修理料金の目安については、機種・症状によって異なるため、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談くださいませ。
店主からの一言 — 修理から 1 週間後、お問い合わせフォーム経由で女将さんから「無事に毎日使えてます。LINE で『画面ピカピカやで』言うたら、卸の兄ちゃんが笑ってました」というメッセージをいただきました。新しい iPhone への買い替えを勧める声もある中で、長年連れ添った 1 台にこだわるお客様の気持ちは、当店としても大切にしたい部分。市場の朝の慌ただしさの中で再びこの iPhone 7 が活躍していると思うと、修理屋冥利に尽きる出来事でした。
よくある質問
発売から 7 年経った iPhone 7 でも修理してもらえますか
はい、当店では iPhone 7 シリーズの画面交換を月に 3-4 件程度ご依頼いただいており、現在も部品在庫を確保したうえで対応しております。古い機種だからといってお断りすることはありません。
Touch ID (指紋認証) は画面交換後も使えますか
iPhone 7 の場合、純正のホームボタンを新しい画面アセンブリに移植することで Touch ID 機能をそのまま継続して使用できます。当店ではこの移植作業も標準対応に含まれております。
画面交換と同時に内部清掃もお願いできますか
分解の流れの中で、フレームや基板周辺の埃・付着物の清掃は標準で行っております。今回のように水回りで使われていた個体の場合、特に丁寧に確認いたします。
修理中の代替機の貸し出しはありますか
現在、貸出機の常備は行っておりませんが、機種・症状によっては当日返却可能なケースもあります。お預かり時間の目安は事前にお伝えいたしますので、お問い合わせフォームよりご相談ください。
修理後の保証はどうなっていますか
交換した部品に対して 3 ヶ月の動作保証をお付けしております。落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外となりますので、保証規約ページにて詳細をご確認ください。