大阪市住之江区にお住まいの写真家 N さん(62)が、長年お使いの iPad 3 を手に当店にいらっしゃったのは、先月の中頃のことでした。2012 年の発売直後にご購入されたという機体は、外装にこそ使い込んだ風合いがあるものの、内部は驚くほど丁寧に保たれており、当店としても久しぶりに見る個体でした。今回の修理内容はガラス面の交換。修理工程の前後で、N さんの機種への思いをじっくり伺うことができました。

受訪者プロフィール

  • お名前: N さん(仮名・62 歳)
  • ご職業: フリーランスの写真家(35 年目)
  • ご在住: 大阪市住之江区
  • 使用機種: iPad 3(Wi-Fi 64GB、2012 年購入)
  • 今回の修理内容: 画面ガラス割れ交換、約 50 分でお引渡し
iPad 3 screen-crack 修理事例

13 年使い続けてきた iPad 3 のこと

Q. iPad 3 を 14 年近くお使いとのこと、まずなぜここまで長く使い続けてこられたのかから伺ってもよろしいですか?

「特別なこだわりがあるわけではないんです。買った当時から、写真の現場で『撮ったその場でクライアントに見せる』という用途で使っていて、それがそのまま続いてきただけ。途中で何度か買い替えを考えたことはあったんですが、画面サイズも重さも、不思議としっくり来てしまって。気づいたら 13 年経っていました」

Q. iPad 3 のどこに、もっとも愛着を感じますか?

「Retina ディスプレイです。第 3 世代で初めて高解像度になった機種で、当時は本当に衝撃でした。今となっては最新機種のほうが色域も応答速度も上ですが、写真をぱっと表示したときの、あの『枯れた濃さ』みたいなものが、私の感覚にいちばん合うんです。あとは、ホームボタンですね。物理ボタンが残っている最後の世代のうちの 1 台ですから」

Q. 普段、お仕事ではどんな場面で使われていますか?

「主に撮影現場での確認用です。ミラーレスで撮ったものを Wi-Fi 経由で送って、クライアントと『この構図でいきましょう』『もう少し寄りで』とその場で打ち合わせするのに使います。あとは、レタッチ済みの仮データを見せるとき。重たい RAW を開く用途には向きませんが、JPEG のプレビューなら今でも十分です」

画面が割れた日、決断するまで

Q. 今回の画面割れは、どんな状況で起きたんですか?

「撮影現場の三脚の脚に、立て掛けていた iPad 3 を引っかけてしまって、ストンと床に。コンクリートの上だったので、画面の右下から斜めに、よくある衝撃割れの形で広がりました。表示自体は無事だったので、家に持ち帰ってからしばらく使っていたんですが、ガラス片が指先に刺さりそうになることが何度かあって、これは早めに直さないと、と」

Q. 新しい iPad に買い替えるという選択肢は、考えませんでしたか?

「正直、考えなかったといえば嘘になります。家族には『そろそろ買い替えたら』と言われていましたし。ただ、今の自分の仕事の仕方に、これ以上の性能は要らないんです。買い替えれば、もちろん新しい良さはあるんでしょうが、覚え直すコストと、慣れた道具を手放す喪失感を考えると、直して使い続ける方が私には合っていました」

Q. 修理に出すことを決めた、いちばんの理由は何でしたか?

「『道具として、まだ役目を果たせる』という確信があったことです。表示も無事、バッテリーも 1 日持つ、Wi-Fi も問題ない。ただ画面ガラスだけが割れている。だったら、その 1 箇所を直すのがいちばん筋が通っているなと思いました。古い機種の修理が可能なお店が減ってきている中で、当店のような関連する iPad の画面修理事例を事前に拝見できたのも、安心材料になりました」

修理後の手応えと、これからのこと

Q. 修理後の使い心地は、いかがですか?

「率直に、ほっとしました。割れた画面に慣れてしまっていたので、ガラスがきれいになって戻ってきた瞬間、『そうだ、これが本来の姿だった』と。タッチの反応も以前と変わらず、表示の見え方も自然です。古い機種だからといって、修理後に違和感が残ることもありませんでした」

Q. iPad 3 のように発売から 10 年以上経った機種の修理は、特殊な事情がありそうですが?

「私もそこは正直、不安でした。お店に持ち込んだら『古すぎて部品がありません』と言われるかもしれない、と。実際、ご相談の電話の前に、いくつかのお店のサイトを見て、対応機種一覧を確認したんです。当店は古い世代の iPad も対応していると書かれていたので、それで安心して持ち込めました。修理事業者の修理ブログ一覧を読むと、対応の幅が分かって参考になりますね」

Q. これから iPad 3 を、どんな風に使い続けたいですか?

「『使えなくなるまで』というのが、いちばん率直な答えです。次にどこかが壊れたら、また考えます。バッテリーがへたってきたら交換できるかご相談しますし、それも難しいとなれば、その時に買い替えを検討します。ただ、まだその時じゃない、というのが今の感覚です。道具と長く付き合うというのは、こういうことなんだろうな、と」

店主からの一言

取材を終えて、思ったことがあります。新しい機種に買い替えるか、修理して使い続けるかは、どちらが正解という話ではありません。ただ、長く使われた道具には、その人の仕事や生活が染み込んでいて、それを「直して使い続ける」という選択肢が、まだ残されている。当店の役目は、その選択肢を一つでも長く保っておくことなのだと、N さんとの対談を通じて、あらためて感じました。同じように長く使われた機種の修理を検討されている方は、分解前のお見積もりからお気軽にご相談ください。

よくある質問

iPad 3 のような古い世代のタブレットでも、画面修理は受け付けてもらえますか?

受け付けています。当店では発売から 10 年以上経った iPad の修理ご相談も月に数件いただいており、画面ガラス交換であれば、部品の在庫状況にもよりますが多くのケースで対応可能です。お持ち込みの前に、機種名と症状をお問い合わせフォームからご連絡いただければ、対応可否を事前にご案内します。

修理後、ホームボタンや Touch ID など、元の機能はそのまま使えますか?

iPad 3 のように指紋認証を持たない世代の場合、ホームボタン自体は分解時に取り外して再装着しますので、特別なトラブルがなければそのままお使いいただけます。Touch ID を搭載した世代では、ボタンとロジックボードの紐付けが純正ペアに限られるため、ボタン部品自体を交換する場合は事前にご相談時にご説明します。

修理に出している間の、お預かり時間の目安はどれくらいですか?

ガラスのみの交換であれば、機種にもよりますが当店では 30 分目安のケースが多くあります。今回の取材記の N さんの場合は、内部の点検も含めて約 50 分でお引渡ししました。お預かり時間は混雑状況・在庫・追加診断の有無で前後しますので、ご相談時にあらためて具体的な目安をお伝えします。

修理した部品には、保証は付きますか?

当店で交換した部品に対しては、3 ヶ月の動作保証(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ)をお付けしています。動作面で気になることがあれば、保証期間内にご相談いただければ再点検いたします。