当店スマエキは2019年から大阪・松屋町で来店修理と郵送修理に対応しており、夏前後になると水没のご相談が一気に増えます。月に5〜8件は水没絡みの持ち込みがあり、特に6月から9月までの期間はプール・海・川・温泉など水回りでのトラブルが目立つ時期となります。今回ご紹介するのは、東淀川区の保育園にお勤めの30代女性のお客様が、保育園のビニールプール清掃中にiPhone XRを水没させてしまった事例でした。

iPhone XR water-damage 修理事例

お客様の悩み — エプロンのポケットに入れたままプールを傾けてしまって

ご来店されたのは平日の朝一番、開店直後の10時過ぎでした。お客様はその日、園児が登園してくる前にプール開きの準備として、前日に張った水を抜いて清掃する作業をされていたそうです。エプロンの胸ポケットにiPhone XRを入れたまま、空になったビニールプールを傾けて残水を排水溝へ流そうとした瞬間、前かがみになった反動で端末がポケットからすべり落ち、底に残っていた数センチの水たまりにそのまま沈んでしまったとのこと。

気付いた瞬間にすぐ拾い上げ、タオルで外側の水気を拭いたところ、画面はまだ点いていたそうです。けれど、心配になって電源を切らずにそのままケースに戻し、登園対応で2時間ほど経った頃に確認すると、画面が真っ黒のままタッチに反応しない状態に。何度か再起動を試みたものの改善せず、お昼休みに「これは早く診てもらわないと」と判断され、保護者対応の合間を縫って当店までお持ち込みいただいた流れでした。

水没直後にやってはいけないこと: 充電ケーブルを差す/電源を入れたまま放置する/ドライヤーで温風を当てる/振って水を出そうとする — このどれもが基板への通電被害を広げる典型的な原因になります。気付いた瞬間に電源を落とし、できるだけ早く修理店へお持ち込みいただくのが結果的に救出率を上げる近道でした。

診断 — 開けてみると、内部にうっすら水滴と腐食の初期サイン

お預かり後、まずは外観チェックから入りました。水没インジケーター(SIMトレイ奥のシール)を覗き込むと、本来白い色がはっきりと赤く変色しており、内部まで水が入った状態であることがすぐに分かりました。プールの水とはいえ、清掃時に薬剤を使われていた可能性も考慮し、慎重に分解する方針で進めることに。

ディスプレイを開けて内部を確認したところ、ロジックボードの周辺に薄く水滴が残っており、バッテリーコネクタの脇には既に白い結晶状の腐食が見え始めていました。水没から3時間以内の持ち込みだったため、これが半日以上経った状態であれば腐食が広範囲に及んでいた可能性が高い症状でした。お客様が「電源を入れ直さずに持ってきたほうがいい」とご自身で判断されたのも結果的にプラスに働いたケースでした。

同じ症状でお困りの方は同じ症状の他事例もあわせてご覧いただくと、判断の材料になるかと思います。診断結果として、ディスプレイ単体の通電不良ではなく、基板側のFPCコネクタ周辺に水分が回り込んだことによる接触不良、と判断しました。バックライト系統への影響が出ていたために画面が真っ黒に見えていた、という流れです。

修理工程 — 超音波洗浄でロジックボードを丁寧にリセット

修理は基板洗浄を中心に進めました。手順としては、まずバッテリーを取り外し、ロジックボードを本体から分離。次に専用の電子部品用洗浄液に浸し、超音波洗浄機で水分と腐食物を物理的に剥離させます。お預かり時間は機種・症状・腐食の進行具合によって変動しますが、今回はおおよそ2時間目安で洗浄工程が完了しました(在庫・混雑により前後します)。

洗浄後はマイクロスコープで腐食痕の有無を再確認し、コネクタの端子部分を1ピンずつチェック。今回は腐食が初期段階だったため、追加のIC交換は不要でした。組み戻しの際には防水パッキンも新品に交換し、再度水分が入り込むリスクを下げる処置も実施。完了後はディスプレイ表示・タッチ反応・Face ID・カメラ・スピーカー・マイク・Wi-Fi・Bluetooth・充電・GPS、と一通りの動作テストを行い、修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しという流れでした。

当店では水没対応を月に5〜8件程度対応しており、機種としてはiPhone XR・iPhone 11・iPhone 12 シリーズの持ち込みが特に多い印象です。郵送修理にも対応していますので、遠方の方でもご相談いただけます。大阪・松屋町スマエキは10:00〜19:00、水曜定休で営業しています。

完成後 — 写真も連絡先もそのまま、保育園の連絡網も無事

お引渡しは同日の夕方17時前。電源を入れた瞬間、画面に保育園の集合写真の壁紙が映し出された時には、お客様も思わず「あー、よかった」と声を漏らしておられました。データはほとんどの修理で保持したまま対応可能で、今回も写真フォルダ・連絡先・LINEのトーク履歴・保育園の業務アプリも全て元の状態のまま動作することが確認できました(基板修理・水没等の重度故障は事前バックアップ推奨です)。

お客様からは「明日からの保育に支障が出ないことが何よりありがたい」「保護者の連絡先が消えていたら園に大迷惑をかけるところだった」とお言葉を頂戴しました。実は、保育士さんからのご相談は当店でも珍しくなく、年に十数件は職場特有のトラブル(プール清掃・水遊び中の水濡れ・お絵かき絵の具の付着・園庭での落下)で持ち込まれています。職業柄、業務連絡や保護者対応で常にスマホが手元にある必要があるお仕事の方ほど、データ復旧の重要性が高いと感じる場面でした。

今回のお客様には、再発防止のため次の3点をお伝えしました。①プール作業時はエプロンの胸ポケットではなく、防水ケース付きストラップで首から下げる/事務室の机に置く運用に切り替える、②水没後はとにかく電源を入れない・充電しない・触らない、③水没インジケーターが赤くなった端末は、見た目は動いていても内部で腐食が進行している可能性があるため、早めに診断だけでも受ける。お見積もりは分解前なら無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能となっています(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)。

類似のケースや過去の修理事例は修理ブログ一覧でも随時公開しています。iPadの画面割れでお困りの方はiPad画面割れ修理の流れを、費用感の目安については修理料金の目安をご参照ください。料金は機種・症状・腐食の進行度によって異なりますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

よくある質問

水没した直後、自分でできる応急処置はありますか?

電源を切ってそのまま乾いたタオルで外側の水気を拭き取り、できるだけ早く修理店へお持ち込みいただくのが現実的でした。ドライヤーの温風や振って水を出す方法は、内部で水分が広がり腐食を加速させる原因になりやすいため避けてください。米びつに入れる方法もネット上では見かけますが、当店経験上、効果が確認できたケースはほとんどありませんでした。

iPhone XRの水没修理にはどれくらいの時間がかかりますか?

機種・症状・腐食の進行具合・在庫状況によって変動しますが、軽度の水没であれば当日返却可能なケースもあります。基板側のIC交換が必要な重度の場合は数日お預かりする場合もあるため、お見積もり時にお伝えいたします。郵送修理の場合は到着から発送まで2〜4営業日が目安です。

水没後でもデータは残りますか?

ほとんどの修理でデータを保持したまま対応可能ですが、基板修理や水没等の重度故障では事前のバックアップを推奨しています。今回のような早期持ち込みのケースでは写真・連絡先・LINE履歴がそのまま残った事例が多くありました。腐食が広範囲に及んでしまうとデータ復旧の難易度が上がる傾向があります。

水没インジケーターが赤くなっていますが、まだ動いています。修理は必要ですか?

見た目は動作していても、内部では腐食が静かに進行している可能性があります。半年〜1年後に突然電源が入らなくなる「時限式の故障」が起きるケースもあるため、早めの診断をおすすめしています。分解前のお見積もりは無料、診断のみのご相談も歓迎です。

保証はありますか?

交換した部品に対して3ヶ月の動作保証をお付けしています(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページをご確認ください)。基板洗浄については洗浄後の動作確認時点での状態保証となります。