白衣のポケットから滑り落ちた一台
先日、大阪府松原市から28歳の女性のお客様がご来店されました。職業は歯科衛生士で、普段はインプラントオペの診療助手も担当されているとのこと。お持ちになったのはiPhone SE(第2世代)、ホームボタン付きの黒いモデルです。画面右下から左上に向かって、放射状に細かいヒビが走っていました。
事情をうかがうと、診療中、白衣の胸ポケットに端末を入れたまま屈んだ瞬間、滑り出した端末がインプラント手術用の無影灯のアームに当たり、そのままタイル床へ落下したそうです。「先生のオペ中で、すぐ拾えなくて」と、本人は申し訳なさそうに笑っておられました。落下高さは1m前後、無影灯の金属アームに一度ぶつかってからの二段落下なので、衝撃が分散したのか、フレームの歪みは軽微でした。
当店では、医療従事者の方からの落下相談を月に3〜4件はお受けしています。看護師さん、歯科衛生士さん、介護士さん——共通するのは「ポケットが浅い白衣・ユニフォーム」と「中腰になる動作の多さ」です。
受付カウンターでの初期診断
お客様には来店時、まず簡単な問診票にお書きいただきました。落下の高さ、落下面の素材、落下後にタッチ操作ができるか、Face IDやTouch IDの状態、バッテリーの持ち、データのバックアップ有無——この6項目です。今回は「タッチは効くがFace IDなし(SEなのでTouch IDのみ)」「Touch ID反応あり」「データはiCloudに昨夜分まで」という回答でした。
受付カウンターで端末をお預かりし、目視で外傷を確認します。確認したのは下記の点でした。
- 液晶側のガラス割れ範囲(右下から左上の対角線)
- 背面ガラスの状態(無傷)
- フレーム四隅の打痕(右下にごくわずかな擦り)
- ホームボタン周辺のセンサー反応
- 受話口・スピーカーの音漏れ
- カメラのピント、レンズカバー
ガラスの割れは表層、液晶の表示そのものは生きている状態。タッチも全面で反応していました。経験上、このパターンは画面パネルアセンブリの交換だけで復旧するケースが多いです。ただし、内部のフレキシブルケーブルが落下衝撃で部分的に断線していると、交換後にタッチ反応が一部欠ける場合があるため、分解して内部を見てから最終診断します。
お客様には「分解前のお見積もりは無料、分解後にもキャンセルいただけます(分解診断や部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)」とご説明し、ご了承いただいてから工房へ持ち込みました。料金は機種・症状によって異なるため、当日のうちにお伝えする流れです。
分解と画面交換の工程
iPhone SE(第2世代)はiPhone 8と同じ筐体設計を踏襲しているため、分解手順は熟知している部類でした。当店では2019年の創業からこの世代を月20台前後はお預かりしてきましたので、ピンタックル(星型ペンタローブ)P2を底面のスピーカー脇から外し、画面を吸盤で持ち上げる手順は迷いなく進められます。
画面を起こしたあと、まずバッテリーコネクタを切り離します。これを忘れて作業を続けると、内部ショートでロジックボード側を傷めるリスクがあるため、必ず最初です。続いてLCDシールドプレートを外し、ディスプレイ側のフレキ3本(LCD、デジタイザ、フロントカメラ・近接センサー・イヤースピーカー)を順に外していきました。
外した旧パネルを観察すると、デジタイザのフレキコネクタ付近にわずかな折れ目はあったものの、断線には至っていない様子。Touch IDのフレキも無事でした。Touch IDフレキは新パネルへ移植する必要があるため、これがもし断線していると指紋認証が使えなくなります。今回は移植も問題なく完了しました。
新しい画面パネルアセンブリを仮接続して動作確認をします。当店では画面交換時に下記の項目を必ずチェックします。
- 表示の色味とドット抜け
- タッチパネルの全面反応(端から端まで指でなぞる)
- 3D Touchの感圧反応(SE2は非搭載なので確認スキップ)
- Touch IDの登録・解除動作
- 近接センサー(通話時に画面が消えるか)
- フロントカメラの起動とピント
- 受話口スピーカーの音量
すべて正常を確認後、防水パッキン代わりの粘着テープを貼り直し、本締めしてお預かり時間は約45分でした。バッテリー交換単体ですと30分目安ですが、画面交換は内部チェックの工程が増えるため、もう少し時間をいただくことが多いようです。同じ画面割れでも症状が複合している場合の参考に、同じ症状の他事例もご覧ください。
お返し時にお伝えしたこと
修理後は技術基準適合確認のうえ、お客様にお渡しします。受付カウンターでお客様自身にも、Touch ID、通話、写真撮影、文字入力を試していただきました。「割れる前と全然変わらない」と笑顔をいただけたのが、この日いちばんの収穫でした。
お渡し時には、白衣で勤務される方への注意点を口頭でお伝えしています。胸ポケットは屈んだ瞬間に滑り出やすい位置で、特に金属器具の上に落下すると衝撃面が小さくなり、ガラスへのダメージが集中しがちです。可能であればウエストポーチ型のホルスターか、首掛けストラップ付きのケースに切り替える選択肢があるとお伝えしました。お客様は「ストラップホール付きの薄いケースを探してみます」とのことでした。
交換した画面パーツに対しては3ヶ月の動作保証をおつけしています(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページにて)。万一、保証期間内にタッチ不良やドット抜けが出た場合は、お問い合わせフォームからご連絡いただければ再度お預かりします。
iPad画面割れと比べてiPhone SE系はパネルが小さい分、輸送中の追加破損リスクが低めで、配送修理のご依頼も増えてきました。配送の流れはiPad画面割れ修理の流れのページに準じてご案内しています。当店の修理日記は修理ブログ一覧にまとめておりますので、似た事例をお探しの方は機種名で検索してみてください。
当店は大阪市中央区松屋町住吉、地下鉄松屋町駅から徒歩圏内で営業しています。営業時間は10:00〜19:00、水曜定休。大阪・松屋町スマエキでは来店修理のほか、遠方の方は配送修理も対応しています。修理金額の目安や受付の流れは修理料金の目安のページをご確認ください。具体的なお見積もりは機種・症状をお問い合わせフォームからお知らせいただければ、お返事いたします。
診療現場、現場仕事、子育て中——どの環境でも、スマホは生活インフラ。割れたまま使い続けると、ガラス片で指を切る・タッチが反応しない範囲が広がる・防水性が落ちる、といったリスクが積み重なります。気になる症状があれば、早めにご相談いただくのが結果的に被害を抑えやすい印象です。
よくある質問
iPhone SE(第2世代)の画面交換でTouch IDは使えますか
旧画面のTouch IDフレキを新しい画面に移植して取り付けます。フレキが落下衝撃で断線していなければ、これまでどおりご利用いただけます。当店では取り外し前に断線の有無を目視で確認したうえで作業に入ります。
預かり時間はどのくらいですか
iPhone SE(第2世代)の画面交換は、当店実績では45分前後を目安にお預かりしています。バッテリー交換単体は30分目安ですが、画面の場合は内部のフレキやセンサー類のチェック工程が増えるため、少し長めとなります。在庫・混雑状況により前後します。
データはそのままで修理できますか
ほとんどの画面交換ではデータを保持したまま対応可能です。ただし、落下時にロジックボードが衝撃を受けている場合や、水没を併発している場合はデータ保護の観点から事前バックアップをおすすめしています。心配な点があれば来店時にご相談ください。
白衣のポケットから落とした場合、画面以外も見てもらえますか
はい、当店では受付時に外装、フレーム、各センサー、カメラ、スピーカーまで一通り点検します。画面以外の不具合が見つかった場合は、ご相談のうえ追加修理が必要かどうかをお伝えします。
配送修理は対応していますか
対応しています。大阪府外からの郵送依頼も月に複数件いただいております。お問い合わせフォームから機種・症状・希望返送先をお知らせいただければ、発送方法をご案内いたします。