
焙煎機の上で滑った一瞬、コンクリ床まで落ちた iPhone 12 Pro Max
先日、大阪市生野区で自家焙煎のコーヒー豆販売とカフェを営まれている 38 歳の男性オーナー様が、当店にご来店されました。お持ちになったのは、ご本人が「商売道具の半分」とおっしゃる iPhone 12 Pro Max。画面の左上から斜めに大きなクラックが走り、右下隅は細かい破片が浮き上がって、触れるとチクチクするような状態でした。
事情を伺うと、店内の業務用焙煎機の上にスマホを一時的に置き、豆の焙煎度合いをタイマーで管理しながら通販向けの商品写真を撮ろうとされていたそうです。焙煎機の天板はわずかに油分が乗っていて、しかも振動があります。少し体勢を変えた拍子に滑り、約 1.2 メートル下の打ちっぱなしコンクリート床に背面から落ちて、そのまま画面側にも衝撃が抜けたようでした。
「商品撮影が止まると通販の発送スケジュールが丸ごと崩れる」と、来店時の表情は本当に困り切っておられました。当店では、月に 3〜4 件は同じように飲食・物販の現場で落下させた iPhone のご相談をいただきます。コンクリ床への落下は、フローリングと比べて衝撃が逃げず、ガラスとパネルの両方にダメージが入りやすい落ち方でした。
診断 タッチが効かない右下と、撮影に響く色ムラを切り分ける
受付後、まず現状確認のため、お客様の目の前で症状を一つずつ確かめました。電源オン、起動ロゴ、ロック画面までは表示されました。ただし右下から中央にかけて緑がかった縦帯と、画面下半分の指の反応が鈍い箇所がありました。撮影業務に直結するカメラアプリも起動はしましたが、シャッター長押しが安定して効かないところがありました。
当店の診断では、(1)前面ガラス全体の割れ、(2)液晶パネルの一部に打痕由来の表示異常、(3)タッチ層の部分的な不感、(4)落下衝撃が背面・カメラ・基板まで波及していないかの確認、という 4 点が論点となります。フレームの歪みは目視と定盤チェックで軽微と判断、背面ガラスは無事、ライトニング端子・スピーカーグリル・サイドボタンも動作良好でした。
カメラについては、メイン・超広角・望遠の三眼を順に試写し、レンズ内部の曇りや手ぶれ補正の異音が出ていないかを確認。商品撮影で使う焦点距離は主に標準と望遠とのことで、両方とも実用上は問題ない描画が出ていました。基板側に致命傷が来ていない可能性が高いと判断し、画面ユニット交換でほぼ復旧できる見込みです、と店頭でご説明しました。お見積もりはこの段階で提示し、分解前のキャンセルも可能なことをお伝えしています。
同じ機種で似た症状の事例は、同じ症状の他事例にも記録があります。背景や落とし方は違っても、診断の手順はほぼ共通です。
修理工程 防水パッキンの再現と、撮影色味のキャリブレーション
iPhone 12 Pro Max は、画面ユニットの周囲に防水のための接着パッキン(粘着フォーム)が回っています。粗く剥がすと、再組み立て時に隙間が出て生活防水が落ちるため、当店では古い接着剤の除去にじっくり時間をかけます。今回はおよそ 30 分目安をその工程だけに使いました。
分解して内部を確認したところ、画面ユニット裏のフレックスケーブルに薄い打痕がありましたが、コネクタは無事。バッテリーの膨張やネジの緩みもありません。Face ID 関連の上部スピーカーモジュールは旧画面ユニットから慎重に移植します。ここの順序を間違えると、Face ID が立ち上がらなくなるため、スマートフォン・タブレットの修理を専門に対応している当店では、機種ごとに移植チェックリストを用意して二人体制で確認しています。
新しい画面ユニットを取り付けた後、最も大事なのが色味の確認です。商品撮影に使われる方の場合、画面が青に寄っていたり、赤が濁っていたりすると、編集後の写真の見え方が変わってしまいます。当店ではグレー階調と肌色のテストパターンを表示し、店頭の標準光下で旧パネルとの差を確認します。今回はわずかに暖色寄りに見えたため、True Tone とナイトシフトの設定を一度オフにし、お客様の通常使用環境でも違和感がないか体感していただきました。
防水フォームを新品に張り替え、フレームに均等な圧で密着させて組み戻します。最後はトルクドライバーで規定値の締め付けを確認し、修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しいたします。受付から完成までの目安は、機種・症状によっては当日返却可能なケースもありますが、今回のように撮影確認まで丁寧に行う場合は半日ほどお預かりすることもあります。
修理工程やお預かりの流れは、iPad画面割れ修理の流れもあわせて参考にしていただけます。スタッフの作業ノートは修理ブログ一覧にも公開しています。
完成後 商品撮影に戻れた一台と、再発を防ぐ二つの提案
組み戻しと動作チェックを終え、お客様にカメラアプリを開いていただきました。コーヒー豆を入れたガラスジャーを店内のカウンターに置き、ご自身の目で試し撮りをされた瞬間、「これ、これで撮ってたんです、色が戻りました」と笑顔になっていただけました。商品撮影で何より大事なのは、店主が普段見ている色を素直に再現できることだと、改めて感じます。
お渡し時には、再発防止としてふたつご提案しました。ひとつは、焙煎機の上にスマホを直置きしないための小型シリコンマット。もうひとつは、ケースを「角の落下吸収重視」のものに替えること。今回お持ちのケースは薄型でしたが、業務中は角に厚みがあるタイプを併用していただくと、コンクリ床への落下でもガラスへの衝撃が軽減されます。
交換した部品に対しては 3 ヶ月の動作保証(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ)をお付けしています。お客様には店舗の名刺と保証カードをお渡しし、何かあればまず写真を撮ってお問い合わせフォームから送ってください、とお伝えしました。当店は 2019 年から大阪・松屋町で来店修理と配送修理に対応しており、営業は 10:00〜19:00、水曜定休です。生野区から来られた方も、地下鉄一本でアクセスしやすい立地となります。
商品撮影や配信に使うスマホの修理は、一般的なヒビ割れ以上にディスプレイの色再現とタッチ精度が重要となります。お見積もり提示後のキャンセルも可能(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)ですので、まずは状況を写真でお送りください。大阪・松屋町スマエキのスタッフが、機種と症状をふまえてご返信いたします。料金は機種・症状によって異なりますが、画面割れの一般的な目安は修理料金の目安もご覧ください。
よくある質問
iPhone 12 Pro Max をコンクリート床に落として画面が割れました。データはそのまま残せますか?
ほとんどの修理でデータを保持したまま対応可能(基板修理・水没等の重度故障は事前バックアップ推奨)です。画面ユニット交換であれば、内部ストレージには触れない作業手順となります。万が一に備え、可能であれば来店前にバックアップをお取りいただくと、より安心していただけます。
商品撮影に使うスマホですが、修理後のカメラ画質や色味は元に戻りますか?
画面ユニット交換のみであれば、カメラ本体には触れないため画質は維持されます。色味は新しいディスプレイで微差が出る場合があるため、当店ではグレー階調と肌色テストパターンで店頭確認を行い、True Tone 等の設定もご一緒に調整しております。
焙煎機の高さから落として、画面以外も壊れていないか心配です。
当店では分解前にカメラ三眼、サイドボタン、スピーカー、Face ID、充電端子、フレーム歪みを順に確認します。画面以外の異常が見つかった場合は、そのままお見積もりに反映してご相談、追加の作業が不要なら画面交換のみで完了となります。
お預かり時間と修理後の保証はどうなっていますか?
お預かり時間は機種・症状によって異なり、画面交換は 1〜数時間が目安(在庫・混雑により前後)となります。交換した部品に対して 3 ヶ月の動作保証(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ)をお付けしています。
見積もり後にやはり依頼を見送りたい場合、キャンセルできますか?
分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)です。事前に状況を写真でお送りいただくと、来店前にある程度の見立てをお伝えできることもあります。