2017 年発売の iPhone X はホームボタン廃止と Face ID 搭載で Apple の方向性を大きく変えた一台でした。発売から 8 年経った今も現役で使われている方が多く、当店にも月に 5-7 件は X の画面割れご相談が届きます。ただ X 以降のフルディスプレイ機種は、それ以前の Touch ID 機種とは修理事情がかなり違うのが実情。今回は実際にお客様からよくいただく質問を Q&A 形式でまとめました。

ノッチ周辺の修理難易度はどのくらい違う?
ホームボタン世代の iPhone と比べると、ノッチ採用機種は分解工程が一段階増えるイメージとなります。ノッチ部分には後述するセンサクラスタが集約されており、画面パネル交換時にこの部品群を慎重に元のディスプレイから外して、新しいパネルへ移植する必要があります。
当店の作業時間目安としては、Touch ID 世代の iPhone 8 がパネル交換で 40 分前後なのに対し、X は 60 分前後を見ていただきます(在庫・混雑状況により前後します)。経験上、難易度が跳ね上がるのはセンサ移植の精度が Face ID 認証速度に直結するためで、雑に扱うとあとで認証が遅くなる症状が出る場合があります。同じ症状の他事例もご参考ください。
ノッチ内のセンサクラスタとは?
ノッチの黒い帯の中には、実は 7 種類前後のセンサ・カメラが詰め込まれています。代表的なのは赤外線カメラ、ドットプロジェクタ(顔の凹凸を読み取るために 3 万点の赤外線ドットを投影する装置)、フラッドイルミネータ、近接センサ、環境光センサ、フロントカメラ、スピーカーレシーバ。これらが Face ID 認証や True Tone 機能を支えています。
画面割れだけのつもりでも、落下衝撃でこのセンサクラスタの配線(コネクタ)が緩んでいるケースがあるため、当店では分解後に必ず各センサの動作確認を行ったうえでパネル交換に入ります。
修理後 Face ID 認証速度の変化はある?
センサクラスタの移植精度が低いと、認証は通るが反応が 0.5 秒ほど遅くなるという症状が出ることがあります。当店実績では、丁寧に元位置へ戻せば修理前と体感差はほぼ無いレベルに収まるケースが多いものの、保証はいたしかねます。
そもそも Face ID 関連部品(特にドットプロジェクタ)は Apple のセキュアエンクレーブと紐付いているため、第三者がこの部品自体を交換すると Face ID 機能そのものが無効化されます。当店では既存のセンサクラスタを移植する方式を取るため、Face ID は引き続き使えるようご案内できます。修理料金の目安はお問い合わせフォームよりご確認ください。
環境光センサが視差ズレで誤動作することはある?
あります。環境光センサはノッチ内の左寄りに配置されていますが、互換パネルの一部にはこのセンサ用の光透過窓位置がコンマ数ミリずれている個体があるようです。
すると周囲の明るさを正しく読み取れず、画面の自動明るさ調整が暗い場所で過剰に暗くなる、明るい場所でも明るくならない、といった症状が出ます。当店では入荷時にロット単位でこのズレを検査し、許容範囲外のパネルは仕入れラインから除外する運用としています。先日も同じ症状でご来店された iPhone X のお客様で、互換パネルのセンサ窓ズレが原因だった事例があり、当店在庫のパネルへ交換し直して解消した次第です。
True Tone 機能の校正手順はどうなる?
True Tone は周囲光の色温度に合わせて画面の白色を自動調整する機能。X 以降この機能はディスプレイパネル個体の校正データと紐付いており、パネルを交換すると標準では True Tone がオフになり、設定画面からも項目が消えてしまいます。
当店では専用機材(プログラマ)を使い、元のディスプレイから校正データを読み出して新しいパネルに書き込む工程を実施します。これにより True Tone を引き続き使えるようご案内できます。書き込み所要時間は 5 分目安。重要なのはこの作業を行わない店舗で交換すると True Tone が永久に使えなくなる点で、修理前にこの工程の有無を確認されることをおすすめします。
ノッチ デザインの欠陥でデッドピクセル発生率は高い?
「X はノッチ周辺にデッドピクセルが出やすい」という噂を耳にされた方もいるかもしれません。実は X は OLED ディスプレイ採用の初期モデルであり、長時間同じ画像を表示すると焼き付きが起きやすい特性はあります。一方デッドピクセル(画素そのものの不点灯)については、当店で扱った X の画面割れ修理品約 200 件を振り返っても、ノッチ周辺に偏って発生しているという統計上の傾向は見られませんでした。
むしろ X 特有のディスプレイ問題として多いのは、画面下端のタッチ感度低下と、低温時の応答速度低下のほう。落下による画面割れと併発しているケースも見受けられます。大阪・松屋町スマエキでは分解前に画面の点灯テストとタッチテストを行い、割れ以外の症状も併せて診断するようにしています。
ノッチ非対応 OS (iOS 11 以前) の互換性はどう?
iPhone X は出荷時から iOS 11 を搭載しており、それ以前の OS にはダウングレードできません。現状サポートされている最新は iOS 16(2022 年リリース)で、その後の iOS 17 以降は対応外。よって OS による互換性問題はほぼ気にしなくて大丈夫でした。
ただ古い iOS のままお使いの方の場合、サードパーティ製アプリの一部が動かない、Safari の TLS 証明書が期限切れになっているといった別の問題は出ています。画面修理の合間にこういった OS 周りのご相談もお受けすることがあるため、気になる点があれば修理時にあわせてお気軽にご相談ください。iPad画面割れ修理の流れや修理ブログ一覧も併せてご覧いただけます。
大阪・松屋町スマエキでは 2019 年の創業以来、iPhone X 含むフルディスプレイ機種の画面修理を多数お受けしてまいりました。営業は 10:00〜19:00 (水曜定休)、配送修理にも対応しています。お見積もりは無料、機種・症状によっては当日お返しできるケースもありますので、まずはお問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。
よくある質問
iPhone X の画面修理後、Face ID は引き続き使えますか?
はい、当店では既存のセンサクラスタを新しいパネルに移植する方式のため、Face ID は引き続きご利用いただけるご案内が可能です。ただしセンサ自体が破損している場合は別途診断が必要です。
True Tone 機能を残せる修理ですか?
当店では専用機材で元パネルの校正データを新パネルへ書き込む工程を実施するため、True Tone を残した状態でお返しできます。所要時間は 5 分目安です。
iPhone X の画面修理にどのくらい時間がかかりますか?
目安として 60 分前後です。在庫状況や混雑、付随症状の有無により前後する場合がございます。詳細は分解診断後にご案内いたします。
互換パネルでも環境光センサや明るさ自動調整は正常に動きますか?
当店では入荷時にセンサ窓のズレを検査し、許容範囲のパネルのみ採用しています。万一不具合が出た場合も 3 ヶ月の動作保証範囲内であれば再対応いたします(落下・水濡れは対象外)。
配送修理にも対応していますか?
はい、大阪・松屋町の店舗以外にも全国からの郵送修理をお受けしています。詳細はお問い合わせフォームよりご連絡ください。