ProMotion 120Hz とは何か — まず仕組みから

iPhone 13 Pro Max の画面修理を検討するうえで、ProMotion 120Hz ディスプレイの構造を理解しておくと、交換部品の選び方や修理後の使用感の見方が変わります。当店では 2019 年の創業以来、Pro Max シリーズの画面交換は月に 3〜4 件のペースでお預かりしてきましたが、お客様から「修理後にスクロールがカクつく気がする」というご相談を受けることがあります。これは ProMotion の特性を踏まえた部品選定ができていれば、多くのケースで回避できる課題でした。

ProMotion とは、Apple が iPad Pro 2017 から採用しているディスプレイ技術で、iPhone では 13 Pro / 13 Pro Max が初搭載となります。リフレッシュレートを 10Hz〜120Hz の範囲で**動的に**可変させる仕組みが核心で、表示する内容に応じて 1 秒間の書き換え回数を細かく調整します。

iPhone 13 Pro Max screen-crack 修理事例

LTPO バックプレーンが可能にした「動的可変」

ProMotion を支える基幹技術が LTPO(Low-Temperature Polycrystalline Oxide:低温多結晶酸化物)バックプレーンです。従来の LTPS(低温多結晶シリコン)方式では、トランジスタの安定駆動の都合上、リフレッシュレートを大きく下げると画面のチラつきが発生しやすいという制約がありました。LTPO はシリコン系トランジスタと酸化物系(IGZO)トランジスタを 1 枚のバックプレーン上にハイブリッド構成することで、低周波駆動時のリーク電流を抑え、10Hz といった極端に低い書き換えでも安定表示を維持できるようになっています。

当店の経験上、これは交換部品の品質を見極めるうえで重要なポイントとなります。LTPO バックプレーンを正しく搭載していない互換ディスプレイの場合、120Hz 表示自体は出せても、低リフレッシュ時にちらつきが残ったり、可変制御そのものが効かず常時 60Hz 駆動に固定されたりすることが、当店実績では確認されています。詳しい事例は同じ症状の他事例でもいくつか紹介しています。

なぜ 10Hz〜120Hz の可変が消費電力に効くのか

静止画表示時に 120Hz で書き換え続けるのは電力の無駄です。iPhone 13 Pro Max は ProMotion により、表示コンテンツのタイプに応じてリフレッシュレートを段階的に切り替えています。指でスクロール中は 120Hz、動画再生中は 24Hz や 30Hz、静止画閲覧中は 10Hz、ロック画面のような最小限の更新時はさらに低周波数へ。これらの切り替えは GPU・ディスプレイドライバ IC・OS が協調して、ユーザーが意識しないうちに行われます。

つまり、ProMotion は単に「ヌルヌル動く」ための機能ではなく、可変による省電力こそが本質でした。Apple の公開資料によれば、120Hz 固定駆動と比較して動的可変モードは消費電力を大きく削減できるとされており、Pro Max の大画面・大容量バッテリーでも一日使える理由のひとつとなっています。

機種別リフレッシュレート対応表

機種リフレッシュレートバックプレーン可変対応
iPhone 12 Pro Max60Hz 固定LTPS非対応
iPhone 13 Pro Max10〜120Hz 可変LTPOProMotion 第1世代
iPhone 14 Pro Max1〜120Hz 可変LTPO 2世代常時表示対応
iPhone 15 Pro Max1〜120Hz 可変LTPO 2世代常時表示対応
iPhone 16 Pro Max1〜120Hz 可変LTPO 改良型常時表示対応

表のとおり、iPhone 13 Pro Max は ProMotion 第 1 世代搭載モデルとなります。下限は 10Hz で、14 Pro 以降の 1Hz には届かないため常時表示(Always-On Display)には対応していませんが、可変省電力の基本構造は確立されたモデルでした。画面割れで部品交換を行う際には、この世代別の差を踏まえた部品調達が前提となります。

画面割れ修理時の部品選定 — 純正同等品の意味

iPhone 13 Pro Max の画面修理で当店がお客様にご説明しているのは、互換ディスプレイにも複数のグレードが存在するという事実です。「純正リペア品」「純正同等品(インセル / オンセル / OLED ソフト / OLED ハード)」「汎用 OLED」「汎用 LCD」と幅広く流通していますが、ProMotion を成立させる LTPO バックプレーンを正しく載せた部品は限られます。

具体的には、汎用 LCD パネルでは 60Hz 固定となり、可変リフレッシュレート機能そのものが失われます。OLED 互換品でも、LTPO 非搭載品では 60Hz / 90Hz / 120Hz の段階固定となり、純正のような滑らかな動的可変は再現できません。ディスプレイドライバ IC の挙動も部品ごとに異なるため、True Tone やトゥルーマッチング機能が無効化されるケースも見られます。当店では Pro / Pro Max シリーズの画面交換時には、原則として LTPO 搭載の純正同等 OLED を採用し、ProMotion 機能の維持を優先しています。

料金は機種・症状・部品グレードによって異なります。お預かり時間は画面交換単体で約 60 分目安(在庫・混雑により前後)。iPad画面割れ修理の流れと基本工程は共通ですが、Pro Max は防水パッキンの再貼付や Face ID コンポーネントの移植にあたって専用工具が必要となります。

修理後に確認したい 4 つのポイント

画面交換後、ProMotion が正しく機能しているかを確かめる方法を挙げておきます。経験上、これらをチェックすることで部品グレードの見極めができます。

  1. 「設定」→「アクセシビリティ」→「動作」→「フレームレート上限」が 60Hz / 120Hz の選択肢として表示されるか
  2. Safari でページを高速スクロールしたとき、文字エッジのなめらかさに違和感がないか
  3. ホーム画面で指を止めた直後にディスプレイが暗くフリッカーしないか(低周波駆動時のチラつき検査)
  4. True Tone・原色表示・自動輝度調整がすべて有効化できるか

これらに違和感があった場合、部品自体の問題か、ディスプレイドライバへの初期化が完了していない可能性があります。当店では作業後に必ずこれらの項目を実機で確認したうえでお引渡ししています。修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しいたします。

外装ガラスと OLED モジュールは一体化している

iPhone 13 Pro Max のディスプレイは、外装ガラス・タッチセンサー層・OLED 発光層・LTPO バックプレーン・偏光板・フレームが一体構造で接着されています。つまり、外装ガラスのみが割れた軽度な状態でも、表面ガラスだけを剥がして交換することは構造上できず、アセンブリ単位での交換となります。これは Pro Max に限らず、近年の iPhone 全機種で共通する設計でした。

軽微なヒビでもタッチセンサー層に微細な断線が広がっていくと、しばらく経ってからゴーストタッチ(誤動作)が出始めることがあります。当店では分解前のお見積もりは無料で、お見積もり提示後のキャンセルも可能です(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)。お預かり前にまず修理料金の目安をご確認ください。

大阪・松屋町でのご相談について

当店は〒540-0017 大阪市中央区松屋町住吉 6-26、地下鉄松屋町駅すぐの実店舗です。営業時間は 10:00〜19:00、水曜定休となっております。Pro Max の画面修理のご相談は、来店修理のほか配送修理(郵送依頼)にも対応しており、遠方のお客様からのお預かりも実績がございます。大阪・松屋町スマエキへのアクセスや配送修理の流れは店舗案内ページをご参照ください。

iPhone 修理の事例や Apple 系製品の構造解説は修理ブログ一覧に蓄積しています。交換した部品に対しては 3 ヶ月の動作保証をお付けしており(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ)、ProMotion の動作を含めて初期不良対応を行っています。お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

よくある質問

互換ディスプレイに交換すると ProMotion 120Hz は失われますか?

部品グレードによります。LTPO バックプレーン非搭載の互換 OLED や汎用 LCD では、60Hz 固定や段階固定となり、純正のような動的可変は再現されません。当店では Pro Max の交換時、原則として LTPO 搭載の純正同等品を採用しています。

画面交換後に True Tone が無効化されることはありますか?

ディスプレイドライバ IC の挙動が純正と異なる互換部品では、True Tone・原色表示・自動輝度の一部が無効化されるケースが当店実績では見られます。純正同等品グレードを選定することで、多くのケースで機能を維持したままお返しできています。

iPhone 13 Pro Max は常時表示(Always-On Display)に対応していますか?

対応していません。常時表示は LTPO 第 2 世代以降を搭載した iPhone 14 Pro 以降の機能となります。13 Pro Max のリフレッシュレート下限は 10Hz であり、この点が 14 Pro(下限 1Hz)以降との明確な差でした。

画面修理にかかる時間はどれくらいですか?

画面交換単体ではお預かり約 60 分目安(在庫・混雑により前後)となります。Face ID コンポーネントの移植や防水パッキンの再貼付に時間を要するため、機種・症状によっては当日返却可能なケースもあります。

ヒビ程度の軽微な割れでも修理した方がよいですか?

ご相談を推奨しています。一体構造のため外装ガラスのみが割れている場合でも、タッチセンサー層への微細な影響からゴーストタッチや表示異常が後発することが当店実績では確認されています。分解前のお見積もりは無料でご案内しております。