iPhone 7 Plus は 2016 年 9 月に発表された機種で、Apple のスマートフォンとして初めてデュアルカメラを搭載したモデルとして知られております。当店では 2019 年の創業から 7 シリーズの修理を数多く扱ってまいりましたが、7 Plus は 5.5 インチの大型筐体に広角+望遠のレンズユニットと A10 Fusion チップを詰め込んだ構造となっており、画面割れ修理においても他の 7 シリーズとは異なる技術的注意点がございます。

本稿では iPhone 7 Plus の内部構造、画面割れ時に併発しやすい不具合、そして大型 LCM(Liquid Crystal Module)の組み立て工程について、技術的観点から解説してまいります。
iPhone 7 Plus の筐体構造と画面ユニットの位置関係
iPhone 7 Plus の筐体は前面ディスプレイ、ロジックボード、Taptic Engine、バッテリー、そして上部に配置されたデュアルカメラユニットで構成されております。画面サイズは 5.5 インチ Retina HD ディスプレイで、解像度は 1920×1080(401ppi)。標準モデルの 7(4.7 インチ)と比較すると面積比でおよそ 1.36 倍の大きさとなっており、ディスプレイユニット単体の重量も増加しているのが特徴です。
画面ユニットは前面ガラス、タッチデジタイザ、IPS LCD パネル、バックライトの 4 層が貼り合わされた一体型 LCM 構造となっております。さらに上部にはイヤースピーカーと近接センサー、フロントカメラがディスプレイ側に配置され、下部にホームボタン(Touch ID 第 2 世代)が固定される形式です。同じ症状の他事例でも触れてまいりましたが、iPhone 7 シリーズ以降のホームボタンはペアリング情報がロジックボードと紐付いており、純正以外への交換は Touch ID が機能しなくなる仕様となっております。
デュアルカメラユニットの位置精度と画面修理への影響
iPhone 7 Plus 最大の特徴であるデュアルカメラは、本体背面の左上に縦並びで配置された 2 基のレンズで構成されております。具体的なスペックを下表にまとめました。
| レンズ種別 | 焦点距離(35mm 換算) | F 値 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 広角(Wide) | 28mm | F1.8 | 標準撮影・通常画角 |
| 望遠(Telephoto) | 56mm | F2.8 | 2x 光学ズーム・ポートレートモード |
| 共通 | 1200 万画素 | — | OIS は広角側のみ搭載 |
このデュアルレンズ構成によって 2x 光学ズームと、被写界深度を演算で再現する「ポートレートモード」が実現されている形となります。画面割れ修理においてカメラユニット自体は背面側に固定されているため直接の交換対象とはなりませんが、注意点が一つございます。落下衝撃で前面ガラスが割れた際に、同時に内部のカメラ周辺フレームに歪みが及んでいるケースが当店実績では月に 2-3 件確認されております。
当店では画面交換前に必ずカメラの動作確認(広角/望遠の切替、2x ズーム時のピント、ポートレートモードの動作)を行い、修理後に再度同じ確認をすることで、画面割れと併発した不具合の見落としを防ぐ運用をしております。
A10 Fusion と画面割れによる二次故障のリスク
iPhone 7 Plus に搭載されている A10 Fusion チップは、高性能 2 コア+高効率 2 コアのヘテロジニアス構成を初めて採用したチップで、当時としては画期的な省電力性能を実現しておりました。3GB の RAM(7 標準モデルは 2GB)も 7 Plus 専用の仕様となります。
画面割れだけであれば A10 自体への影響は基本的に発生しませんが、落下時の衝撃によって基板側のコネクタが浮く・周辺の C12 チップ(タッチ IC)にクラックが入るといった二次的な故障が起こる事例もございます。先日もお預かりした 7 Plus で、画面交換後にタッチ操作の一部が反応しないという症状が残っており、基板側のタッチ IC を確認したところ微細なクラックが見つかった事例がございました。こうしたケースでは画面交換に加えて基板修理が必要となるため、事前の診断が重要となります。
料金は機種・症状によって異なりますので、修理料金の目安ページをご確認の上、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。分解前のお見積もりは無料です。
大型 LCM の組み立て工程 — 7 Plus 特有の難所
iPhone 7 Plus の画面交換は、4.7 インチの 7 標準モデルと比較すると LCM のサイズが大きいぶん、組み立てに気を遣うポイントが増えてまいります。実際の作業手順を簡略化して整理いたします。
まず本体下部の 2 本のペンタローブネジ(P2)を外し、サクションカップとオープニングピックで前面ディスプレイを慎重に持ち上げてまいります。7 シリーズから採用された IP67 防水構造のため、筐体周囲には粘着テープ(Adhesive Strip)が貼られており、無理に開けるとフレームが歪む原因となります。当店ではヒートガンで 60〜70℃ 程度に温めてから剥がす工程を取り入れております。
ディスプレイを開いたら、内部を保護する金属ブラケット 3 枚をプラスドライバー(Y000 / 1.2mm)で取り外し、バッテリーコネクタを最初に切断。続いて画面側のフレキシブルコネクタ 3 本(LCD・タッチデジタイザ・フロントカメラ/イヤースピーカー)を順番に外してまいります。
新しい画面ユニットへの組み替えでは、既存ディスプレイから以下の部品を移植する必要がございます。
- イヤースピーカーメッシュ + フロントカメラブラケット
- LCD バックプレート(金属シールド)
- ホームボタン(オリジナルを使用 — Touch ID 維持のため)
とくに大型化した LCM では、バックプレートのネジ位置が標準モデルより 2 箇所多くなっており、トルク管理も必要です。締め過ぎるとパネル裏に圧痕が付き、表示ムラの原因となるためでした。
修理後の動作確認チェックリスト
画面交換後は以下の項目を一つずつ確認してまいります。当店では作業完了から引渡しまでの間に、最低でも下記 8 項目をチェックする運用となっております。
- 3D Touch(感圧タッチ)の反応 — 7 Plus は 3D Touch 対応機種
- タッチ全画面の追従(端から端まで指でなぞる)
- 表示色のムラ・縦線・横線の有無
- イヤースピーカーの音量と歪み
- 近接センサー(通話時に画面消灯するか)
- フロントカメラの画質・ピント
- 背面デュアルカメラの広角/望遠切替・ポートレートモード
- Touch ID の認証(ホームボタン移植成功の確認)
このリストはあくまで目安ですが、7 Plus 特有のチェック項目はとくに 7 番のデュアルカメラ動作確認となります。iPad画面割れ修理の流れにも一部共通する診断手順がございますので、合わせてご参考になれば幸いです。
来店修理と配送修理の流れ
iPhone 7 Plus の画面交換は、ほとんどのケースで部品在庫があれば当日返却可能なケースもございます(混雑状況により前後)。大阪・松屋町スマエキでは来店修理に加えて、ヤマト運輸の宅配便を利用した配送修理にも対応しております。遠方のお客様や移動が難しい方は配送をご利用いただくことが多くなっております。
来店をご検討の方は、〒540-0017 大阪市中央区松屋町住吉 6-26 まで、地下鉄長堀鶴見緑地線または谷町線の松屋町駅 3 番出口から徒歩 2 分ほどで到着いたします。営業時間は 10:00〜19:00、水曜定休となっております。混雑時のお待ち時間を抑えるため、ご来店前にお問い合わせフォームから症状をお知らせいただけますと、部品の在庫確認もスムーズに進みます。
修理後は交換した部品に対して 3 ヶ月の動作保証を付帯しており、初期不良があった場合は無償で再対応いたします(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ)。
iPhone 7 Plus は 2016 年発表のモデルではございますが、A10 Fusion の処理能力とデュアルカメラの撮影体験を理由に、現在も使い続けている方は珍しくございません。修理に関する他の事例は修理ブログ一覧にも順次掲載しておりますので、ご参考にどうぞ。
よくある質問
iPhone 7 Plus の画面修理ではデュアルカメラへの影響はありますか?
画面ユニットとデュアルカメラは別パーツのため、画面交換だけでカメラに影響することは基本的にございません。ただし落下衝撃で同時にカメラ周辺フレームが歪んでいるケースもあり、当店では修理前後にカメラ動作(広角/望遠/ポートレートモード)を確認する運用としております。
ホームボタンを社外品に交換すると Touch ID は使えなくなりますか?
iPhone 7 シリーズ以降のホームボタンはロジックボードとペアリングされた構造のため、純正以外への交換では Touch ID が機能しなくなる仕様となっております。当店では既存のホームボタンを新しい画面ユニットに移植する形で対応いたします。
画面割れと同時にタッチが効かない場合はどうなりますか?
画面表面のタッチ層の損傷であれば画面交換で改善するケースが多いですが、基板側のタッチ IC(C12 チップ)にクラックが入っている場合は基板修理も必要となります。診断段階で切り分けを行いますので、お預かり時にご相談ください。
修理時間はどのくらいかかりますか?
画面交換のみであればお預かり時間は 60 分前後が目安となります(在庫・混雑状況により前後)。基板修理を併発する場合や、診断結果によっては数日お預かりとなる場合もございますため、事前のお問い合わせをおすすめいたします。