作業着ポケットから 1.5m 下のピットへ — 30 歳整備士さんのご相談
先日、大阪府堺市から自動車整備工場で働く 30 歳の男性整備士さんが、当店のカウンターまで足を運んでくださいました。手にしていたのは、画面の左上から放射状にヒビが走る iPhone SE (第 2 世代)。表面のガラスは一部が欠けて落ち、タッチ操作も右下半分が反応しなくなっている状態でした。
お話を伺うと、その日の朝、リフトに上げた軽トラックの下回りを点検していたときのこと。屈み込んだ拍子に、つなぎの胸ポケットから iPhone がするりと抜け、ピットの床まで一気に落下したそうです。整備士さんによると「ポケットのファスナーをいつも閉めとくのに、その日に限って開けっ放しやった」とのこと。落下距離はおよそ 1.5m、しかも床はコンクリートにオイルが点々と染みた硬い面で、ほぼ最悪の条件が重なってしまったようです。
第一声は「これ、データだけでも残してもらえます?」。お子さんの写真や、現場で撮ったクルマの整備履歴写真がかなりの量入っていて、機種代よりもデータが惜しいというお気持ちでした。月に 3〜4 件は同じような「現場仕事中の落下」案件が当店には持ち込まれます。建設業の方、配送業の方、そして今回のような自動車整備士さん。いずれも作業着の浅いポケットが原因になりがちです。
当店スマエキは大阪市中央区松屋町住吉、地下鉄松屋町駅から徒歩数分の場所で 2019 年から営業しております。今回のように堺市方面からお車でお越しいただくお客様も少なくありません。同じ症状の他事例もブログにいくつかまとめておりますので、よろしければ後ほどご覧ください。
店頭で行った初期診断 — 表示・タッチ・基板まわりをひとつずつ
まずはカウンター越しに端末をお預かりし、目視で外観を確認しました。割れているのはあくまでフロントガラスとその下の液晶層で、フレームには大きな歪みなし。背面ガラスも無事でした。1.5m の落下にしては、フレームが衝撃を受け止めてくれた格好です。
続いて電源を入れて表示を確認すると、ロック画面は問題なく出ます。ただ、画面右下のホームボタン側を中心にタッチが効かず、パスコード入力すら困難。整備士さんが普段使われている指紋認証 (Touch ID) は反応していたので、ホームボタン本体は生きていそうな感触でした。
当店ではこういった画面割れの初期診断で、必ず次の 4 点をチェックしています。
- 表示の縞・線・色抜けの有無 (液晶/有機 EL の生死)
- マルチタッチの全領域反応 (デジタイザの生死)
- 近接センサー・環境光センサーの動作 (上部フレックスの状態)
- フレームの歪み・浮き (バッテリー膨張や基板ストレスの兆候)
iPhone SE (第 2 世代) は iPhone 8 系の筐体を踏襲しており、画面交換そのものは比較的素直な機種となります。今回は表示自体は綺麗に出ていたものの、タッチ層の損傷が広く、画面アセンブリ一式の交換が妥当と判断しました。バッテリーの膨張や基板の焦げ跡などは見られず、内部までダメージが及んでいなかったのは不幸中の幸いでした。
整備士さんには「画面アセンブリ交換で復旧できる見込みが高い」「ただし作業中に内部の腐食やオイル付着が見つかった場合はご相談させてください」とお伝えし、その場で書面のお見積もりをお渡し。分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能ですので、整備士さんも納得のうえでご依頼くださいました。
料金は機種・症状によって異なります。具体的な目安が気になる方は修理料金の目安のページもご参照ください。
修理工程 — オイルの拭き取りから動作確認まで
お預かりしたのが午前中だったため、その日のうちに作業に入りました。iPhone SE (第 2 世代) の画面交換は、底面のペンタローブネジを外し、サクションカップで画面を持ち上げ、フレックスケーブルを慎重に外していく流れとなります。
当店で必ず守っているのは、画面を「本のように」90 度開く前に、防水パッキンに残った接着剤を一度ヘラで馴らす工程。これを省くと、フレックスケーブルがパッキン残渣に引っかかって断線するリスクがあるためです。今回は割れたガラス片が内部に入り込まないよう、開口前にカプトンテープで割れ目を養生してから持ち上げました。
本体内部を覗くと、わずかですが粉塵と、ピットで付着したと思われる薄い油分の汚れが基板の縁に確認できました。整備士さんの作業環境ならではの汚れです。基板まで到達する前にイソプロピルアルコールで該当箇所を清掃し、フレックスコネクタの接点も綿棒で軽く拭き取り。こうした下処理は、修理後の接触不良を未然に防ぐためにとても大切な工程となります。
新しい画面アセンブリには、Touch ID のホームボタンを元の個体から移植しました。iPhone 6s 以降のホームボタンは本体基板とペアリングされているため、ここを移し替えないと指紋認証が使えなくなります。整備士さんから「指紋認証は普段使ってる」とお聞きしていたので、ここは特に丁寧に作業しました。
組み付け後は、表示・全領域タッチ・通話スピーカー・近接センサー・カメラ・Touch ID の順に動作確認。すべて正常に反応することを確認したうえで、新しい防水パッキンを貼り直して本体を閉じています。お預かりから組み上げ・最終チェックまで、当日のうちに作業を終えることができました (機種・症状・在庫状況によっては後日のお引き渡しになるケースもあります)。
修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しいたします。同様の修理工程はiPad画面割れ修理の流れのページでも紹介しているので、iPad ユーザーの方もよろしければ参考になさってください。
引き渡しとアフターケア — 整備士さんに合うポケット運用も提案
夕方、お仕事帰りに整備士さんが再来店。お渡しした iPhone SE (第 2 世代) は、ヒビの面影もなくスッキリと元通り。電源を入れ、ロック解除、写真アプリ、整備記録に使われている社内アプリまで一通り操作いただき、「タッチが端まで効きますわ、これで明日からまた仕事できる」と笑顔で頷いてくださいました。
大切なお子さんの写真や整備履歴のデータも、ほとんどのケースで保持したまま対応可能です (基板修理・水没等の重度故障は事前バックアップ推奨)。今回は画面アセンブリの交換だけで済んだため、データはそのままお返しできました。
お引き渡しの際、整備士さん向けに当店からひとつご提案させていただきました。それは「胸ポケット運用をやめて、腰の工具ベルトに専用ホルスターを追加する」というものです。経験上、整備士さん・配送業さん・建設現場の方々は、屈む・しゃがむ動作が多いため、胸ポケットからの落下が目立ちます。腰位置のホルスターか、首から提げるネックストラップ運用に切り替えるだけで、月単位での落下事故はぐっと減るようです。
交換した部品に対しては 3 ヶ月の動作保証をお付けしております (落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページをご確認ください)。修理後しばらくの間、タッチが効きにくい・画面が浮いてくるなど気になる症状が出た場合は、その期間内であればお気軽にご相談ください。
当店は来店修理だけでなく、配送修理 (郵送依頼) にも対応しております。堺市から松屋町までは少し距離がありますので、お忙しい時期は配送でのご依頼も使い分けていただけます。詳細はお問い合わせフォームからご連絡くださいませ。
同じく iPhone の画面割れ・タッチ不良でお困りの方は、大阪・松屋町スマエキまでご相談ください。これまでの修理事例は修理ブログ一覧にも順次まとめております。営業は 10:00〜19:00、水曜定休となります。
よくある質問
iPhone SE (第 2 世代) の画面割れですが、データを残したまま修理できますか?
ほとんどのケースで、写真や連絡先などのデータを保持したまま画面アセンブリの交換に対応可能です。ただし基板まで損傷が及んでいるケースや水没を伴う重度故障では、事前バックアップを推奨しています。
今回のように堺市から松屋町まで持ち込む場合、当日中に受け取れますか?
iPhone SE (第 2 世代) の画面交換は、機種・在庫・混雑状況によっては当日返却が可能なケースもあります。お急ぎの場合は事前にお問い合わせフォームからご連絡いただけるとスムーズです。
Touch ID (指紋認証) は修理後も使えますか?
元の個体に付いていたホームボタンを新しい画面アセンブリ側へ移植する形で作業しますので、多くのケースで Touch ID は引き続きご利用いただけます。ホームボタン自体が破損している場合は、指紋認証機能のみが使えなくなる旨を事前にご説明いたします。
整備の現場で使っているスマホですが、内部の油汚れも対応してもらえますか?
分解時に基板周辺の油分や粉塵が見つかった場合、必要に応じてイソプロピルアルコールでの清掃を併せて行っております。汚染の程度によっては別途ご相談のうえ対応する形となります。
修理料金はどれくらいになりますか?
料金は機種・症状によって異なります。分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能ですので、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください (分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)。