iPhone XS screen-crack 修理事例

作業場での落下 — 銅鍋にぶつけて画面が割れたお客様のお悩み

先日、大阪市生野区で三代続く和菓子屋を営まれている 50 代の男性のお客様が、当店までご来店くださいました。手にされていたのは、5 年以上連れ添ったという iPhone XS。画面の右上から斜めに大きなヒビが走り、左下隅は液晶の一部が黒く滲んで表示が乱れている状態でした。

お話を伺ったところ、原因は朝の仕込み中の出来事だったそうです。生菓子に使う餡を炊いている最中、エプロンの胸ポケットに入れていた iPhone XS が、身を屈めた拍子に滑り落ち、ちょうど作業台の角に置いていた銅鍋の縁に直撃したとのこと。「鈍い音がして、拾い上げたらこの有様で…」と、苦笑いされながら見せてくださいました。

当店では、このような「うっかり落下」のご相談を月に 20 件以上お受けしています。とくに飲食業や工房系のお仕事をされている方は、両手がふさがる場面が多く、似たようなトラブルが起こりやすい傾向にあります。経験上、銅鍋やステンレス調理器具など、硬く重量のある金属に当たった場合は、ガラスの割れだけでなく内部の液晶パネルまでダメージが及ぶケースが多くなります。今回もまさにそのパターンでした。同じ症状の他事例もページ内でご覧いただけます。

診断 — 表示の滲みは液晶までダメージが届いたサイン

まずカウンターでお客様の前で簡易チェックを行いました。タッチ操作は概ね反応するものの、画面左下の黒い滲みが時間とともに広がっている兆候があり、これは液晶パネル内部の液漏れに近い状態。放置すれば数日でタッチも効かなくなる可能性が高い状況でした。

iPhone XS は 2018 年発売のモデルで、有機 EL ディスプレイを搭載しています。当店では 2019 年の創業以来、この機種の画面修理を相当数手がけてきましたが、銅鍋のような硬質金属への衝突は、ガラス・タッチセンサー・液晶パネルが一体構造になっているため、ガラスだけ交換というわけにはいきません。一体型のフロントパネル一式を交換する必要があります。

本体の歪みやフレーム変形がないかも確認しました。幸いフレームは無事で、iPhone 自体は電源・スピーカー・カメラ・指紋ならぬ Face ID も含めて正常に動作していました。お客様には診断結果と作業内容、所要時間の目安(混雑状況により前後しますが、当日返却が見込めるケースが多い旨)をお伝えし、ご納得いただいたうえで作業に入りました。分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能となっております。

修理工程 — 5 年使い込まれた個体ならではの一手間

作業に入ると、5 年以上使い込まれた個体ならではの慎重さが必要でした。まず本体を温めて画面の粘着剤を緩め、薄いピックでゆっくり画面を浮かせていきます。長年の使用で粘着剤が硬化していたため、いつもより少し時間をかけて剥離しました。

画面を開いた後は、内部のフレキシブルケーブル 4 本を順番に外し、Face ID 用センサー類、イヤースピーカー、フロントカメラのモジュールを丁寧に旧パネルから移植します。この移植作業を省くと Face ID が使えなくなる、というのが iPhone XS 画面修理のポイントです。iPad画面割れ修理の流れと基本工程は似ていますが、Face ID 関連パーツの取り扱いだけは iPhone XS / 11 / 12 系列に特有の繊細さがあります。

新しいパネルにモジュール類を移し終えたら、フレキシブルケーブルを順番にコネクターへ嵌め込み、仮組みの状態で起動テスト。タッチ操作・表示・True Tone・Face ID 認証・通話用イヤースピーカーまで一つずつ動作を確認します。問題ないことを確認してから防水パッキンを新品に交換し、本体を閉じて完了。お預かりからお引き渡しまで、この日は約 50 分でした。修理後は技術基準適合確認のうえお引渡しいたします。

完成後 — 作業場でも安心して使える状態に

カウンターでお客様にお返しすると、まず画面の表示の鮮明さに驚かれていました。「滲みがあったの、思った以上にストレスやったんやな」と、ようやく気付かれたご様子。Face ID もすぐに作動し、お使いの LINE と楽天市場の注文確認画面まで一緒にチェックしました。

合わせて、作業場での落下対策として、市販の耐衝撃ケースに入れ替えること、エプロンの胸ポケットではなく腰のサイドポケットに入れること、などをお伝えしました。「次は割らんように気を付けるわ」と笑っておられたのが印象的でした。交換した部品に対しては 3 ヶ月の動作保証(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページ)をお付けしています。

当店、大阪・松屋町スマエキでは、来店修理のほか、生野区など少しお店から離れたエリアの方にもご利用いただきやすいよう、配送修理(郵送依頼)も承っております。料金は機種・症状によって異なりますので、修理料金の目安のご案内や、修理ブログ一覧の過去事例をご参照のうえ、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

店主からの一言 — 修理から 1 週間ほど経ったある日、お店のメールアドレス宛に、件のお客様から短いご連絡をいただきました。「直してもろうた iPhone で、今朝も仕入れの注文済ませました。画面がきれいやと餡の色味の写真も送りやすうて助かってます」と。修理屋冥利に尽きる一文でした。古い機種だからもう買い替え時かと迷いながらご来店される方も多いのですが、本体に大きな問題がなければ、画面交換だけでまだまだ現役で活躍してくれます。今日も松屋町の小さな店で、お客様の一台一台に向き合っております。

よくある質問

iPhone XS の画面が割れて表示も滲んでいますが、データはそのまま残せますか?

ほとんどの画面修理はデータを保持したまま対応可能です。ただし基板修理・水没など重度の故障が併発している場合は、事前のバックアップを推奨しております。今回のような画面のみのダメージであれば、データはそのまま引き継がれます。

古い iPhone XS でも修理する価値はありますか?

本体のフレーム変形やバッテリーの著しい劣化がなければ、画面交換だけでまだ快適にお使いいただけるケースが多いです。当店では 2019 年の創業以来、5 年以上経過した端末の修理も多く手がけております。買い替えと修理どちらが妥当か、診断時にご相談いただければ率直にお伝えします。

Face ID は画面交換しても使えますか?

iPhone XS の画面交換では、旧パネルに付いている Face ID 関連のセンサー類を新しいパネルへ移植する作業が必須となります。当店ではこの移植を標準工程として行っており、修理後も Face ID をそのままご利用いただけます。

生野区に住んでいますが、来店しないと修理できませんか?

ご来店のほか、配送修理(郵送依頼)も承っております。お問い合わせフォームよりご相談いただければ、発送方法と所要日数の目安をご案内いたします。お忙しい店主様などには配送修理をご利用いただくケースも多くございます。

見積もりだけでも対応してもらえますか?

分解前のお見積もりは無料で承っております。お見積もり提示後のキャンセルも可能です(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)。お気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。