充電不良の症状で持ち込まれるiPhone、月に10件以上は当店で診ています。端子の摩耗や折れ、コネクタ内部の異物——原因はいくつかに絞れます。

先日も、ライトニングケーブルを挿すと「充電中」表示が出たり消えたりを繰り返すというiPhone 12のお客様がいらっしゃいました。お話を伺うと、市販の安価なケーブルを半年ほど使っていたとのこと。端子を拡大鏡で見ると、接触部分に明らかな摩耗跡が。iPhone側のコネクタ内部にも、金属粉の付着が見られました。

iPhone 12 Pro charging 修理事例

構造的な問題の一つが、端子のピン配置です。

iPhoneのライトニング端子は8ピン構成で、電源(V+、GND)とデータ通信(D+、D-)に加え、識別用のIDピンがあります。充電に直接関わるのは電源ピンですが、IDピンが正しく接続されないと、iOSが正規アクセサリでないと判断し、充電電流を制限します。MFi認証はこのIDピンの通信プロトコルを検証するためのもので、非認証ケーブルではチップが正しく応答せず、充電が不安定になるケースが報告されています。当店の診断機で計測したところ、非認証ケーブルの多くはIDピン信号が規格値の半分以下であることが確認できました。

つまり、ケーブル側が原因の充電不良は少なくありません。

一方で、本体側のコネクタ自体が物理的に損傷しているケースもあります。例えば、ポケットにスマホを入れたままコードが引っかかり、コネクタ内部の基板実装部に負荷がかかり、はんだクラックが生じる。特にiPhone 8以降の機種では、コネクタモジュールが独立しているため、交換は比較的容易ですが、無理な力が加わると充電口のフレキケーブルが断線し、概ね充電できなくなることもあります。

当店では、まず充電口の内部をLEDライトと拡大鏡で観察します。ゴミやホコリが詰まっているケースは全体の3割程度。これはピンセットやエアブローで除去可能です。しかし、ピン自体が曲がっている、または基板から浮いている場合は、コネクタモジュールの交換が必要。交換作業自体は約30分目安(在庫がある場合)で、作業後は技術基準適合確認を経てお引き渡しします。また、交換部品に対しては3か月の動作保証(落下・水濡れなど使用上のトラブルは対象外、詳細は保証規約ページをご確認ください)を付けています。

1か月前に他店でバッテリー交換をしたけれど、その後充電が不安定になったという方も。「修理後に症状が出始めた」という場合は、コネクタ周辺の組み付け不良も疑うべきです。

結論を急がず、まずはお預かりして診断するのが確実です。

充電不良の原因は多岐にわたるため、ご自身での対処には限界があります。分解前のお見積もりは無料、お見積もり提示後のキャンセルも可能(分解診断・部品発注後は所定の手数料が発生する場合があります)です。同じ症状で気になる方は、配送修理のご案内をご参照の上、お問い合わせフォームよりご連絡ください。当店の修理ブログ一覧でも、同機種の他症状の事例を多数掲載していますので、同機種の他症状の修理事例関連する修理事例もご参照いただけます。また、修理保証についての詳細や、他の修理メニューも合わせてご覧ください。

よくある質問

充電ケーブルを挿しても反応がない場合、どうすればいいですか?

まずはケーブルを変えてみてください。純正またはMFi認証品で試すと原因の切り分けになります。それでも改善しない場合は、充電口の内部にゴミが詰まっている可能性があるため、お預かり診断をおすすめします。

MFi認証とは何ですか?

Appleが公式に品質を認証したアクセサリに付与されるマークです。認証を受けていないケーブルはIDピンの通信が不安定で、充電不良や端末へのダメージを引き起こすことがあります。

充電口の修理はどのくらい時間がかかりますか?

部品在庫がある場合、作業時間は約30分目安です。混雑状況により前後するため、当日お預かりの場合はお問い合わせください。